広島・呉発展の歴史に触れる旅①「旧海軍鎮守府」の歴史物語を辿る
2019年4月1日(月) 配信
広島県呉市は、「旧海軍鎮守府」と「朝鮮通信使」、「北前船」の3つの歴史物語を核に、1泊2日の滞在型観光地づくりを進めている。JR呉駅を中心に点在する旧海軍関連の史跡と、とびしま海道が結ぶ「下蒲刈島」と「御手洗」(大崎下島)を巡り、呉の発展の歴史に触れる。また、ここでしか見られない景色、グルメを歴史と絡め楽しむことで、呉の魅力を堪能してもらいたい考え。情報発信の強化に加え、朝や夜の観光コンテンツの造成も進めている。Webでは、2回に分け、魅力を発信。今回は、「旧海軍鎮守府」の歴史とグルメを紹介する。
□東洋一の軍港都市「呉」
1889(明治22)年、旧日本海軍の拠点「呉鎮守府」が開庁し、のどかな農漁村だった呉は、東洋一の軍港都市に姿を変えた。
旧海軍は、入船山に司令長官官舎を置いた。初代官舎は1905(明治38)年に発生した芸予地震で倒壊。同年2代目官舎が建てられた。現在公開されている官舎は、この当時の資料に基づき復元。建物は和館と洋館で構成され、公的な空間である洋館部の壁や天井には全国的にも珍しい金唐紙が張られている。
呉では、世界最大級の戦艦「大和」など133の艦艇と、特殊兵器が建造された。「大和ミュージアム」では、呉で建造された艦船の資料などを用い、造船・製鋼を始めとした各種「科学技術」を紹介。併せて、呉の発展の歴史も発信する。
メインは10分の1サイズに復元した戦艦「大和」と、関係資料で大和に搭載されていた予備の探照灯などを展示する。
併せて、「大和」最後の出撃となった「沖縄作戦」時の乗組員の遺書などを展示し、平和の尊さも訴える。
大和ミュージアムを出ると、巨大な潜水艦が目に飛び込んでくる。日本で唯一実物の潜水艦を見学できる「海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)」だ。同施設は、潜水艦の発展と現況や、掃海の歴史に関する展示資料を通して、海上自衛隊の歴史を紹介する。
注目は、2004年まで海自が実際に運用していた潜水艦「あきしお」
で、機密情報に関わる設備以外をすべて公開する。艦長室や士官室などが見学できる。
大和ミュージアムの隣、「呉中央桟橋ターミナル」からは、海自OBがガイド役を務め、停泊中の護衛艦や潜水艦の特徴を解説する「呉艦船巡り」の船が出ている。
おすすめは、日の入り15分前に出港する「夕呉クルーズ」。夕景のなか、海自の艦船自衛艦旗がラッパ譜「君が代」の演奏とともに降ろされる景色は、呉ならではという。
□注目は「屋台グルメ」
歴史のまち呉は、グルメのまちでもある。とくに2015年に誕生した「呉海自カレー」は、呉来訪のきっかけとしての役割も果たしており、首都圏から足を運ぶファンも多いという。
一方で、旧海軍ゆかりのグルメも味わえる。「三宅本店」の酒は、全国の海軍基地に納められた。酒蔵の売店では、海軍御用達の酒として、艦隊に納品されていた頃の味を忠実に再現した日本酒を販売する。
夜グルメでは、地元の人が集う「赤ちょうちん通り」が外せない。電気と上下水道が整備されている全国でも珍しい屋台通りで、ラーメンやお好み焼き、おでんなどが楽しめる。
「焼鳥屋」に足を運ぶのもおススメだ。市内の焼き鳥屋には、大きな生簀が置かれ、瀬戸内の新鮮な魚介類が味わえる