〈旬刊旅行新聞4月11日号コラム〉GW10連休近づく 休み方も多様化する「令和」時代に
2019年4月11日(木) 配信
4月1日に新元号「令和」が発表された。日本最古の歌集「万葉集」から引用された序文の美しさと、「れいわ」という響きの気品の高さも相まって、歓迎ムードと、新しい時代への期待も大きくなっている。
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昭和から平成に改元した際の自粛ムードとは異なり、今回は日本全体が祝賀的な雰囲気に包まれているように感じる。また、新年号発表の直後に、「令和」をあしらった商品が全国各地に秒を争って誕生し、瞬く間に消費されていくニュースを見ながら、あやかり商法のスタートダッシュの速さと、「ここまでやるか」という驚嘆で思わず微笑んだ。
日本も成熟した国家を目指しながら、一方で、商機とあらばすべてを利用する〝商魂たくましさ”を垣間見せた。「まだ世界を驚かす瞬発力(バネ)と貪欲なパワーがある」と感じた。このエネルギーが無くなったとき、国は衰弱に向かっていくのだろうと思った。
4月になり、観光業界の総会などの招待状も届き始めた。開くと、早速「令和元年5月○日」と開催日時が記されている。さりげなく、新時代の空気を運んで来てくれる。
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さて、これからの関心事は、5月1日の改元を挟んだゴールデンウイーク10連休だ。世間話の流れで「10連休はどうするのか」と聞くと、女性は「旅行をする」という人がほとんどで、男性は「まだ決めていない」というのが大体の傾向だ。私も今ごろになって旅行会社やOTAの予約サイトを開いているのだが、「遅きに失した」感が半端ではなく、途方に暮れている。
JTBが発表した今年のGW旅行動向によると、国内旅行人数は前年同期比1・1%増の2401万人、海外旅行は同6・9%増の66万2千人といずれも過去最高を記録する見通しだ。「自分自身は10連休以上」という人は31・5%を占め、「自分も家族も10連休以上」が21・7%なのだという。
このような状況のなか、旅行予約サイトのわずかに残っているツアーの料金を見て、眩暈を覚える。5月7日(火)や8日(水)出発だと半額以下で、しかも空いているとなると、「あえてGWに旅行する必要はないか」と諦めてしまう。
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観光業界にとって旅行需要の平準化は、最大の課題と言ってもいい。旅行時期や目的地の集中化は、誰にとっても幸せな結果を残さない。
今年4月から働き方改革関連法の1つとして、年に5日以上の有給休暇取得が義務化された。ギリギリのスタッフで回す中小零細企業の現場では、「有休」制度の利用が難しい。国の法律によって有休取得が義務化されることに批判的な意見もあると思うが、冷静に見て、法律で義務化しないと現場から有休を取ろうという動きにはなかなかなりづらいというのが実感である。
弊社も有休をしっかり取れるように、社員各自が有休の取得予定日を年間スケジュールに書き込んでいる。祝日法で定められていない時期に3連休を取得するパターンも増えており、観光地や、旅館・ホテル、レジャー施設、交通機関にとっても歓迎される動きだと思う。好きな時期に有休をとって観光業界にも貢献したいとの思いもある。働き方も、休み方も多様化していく「令和」時代に期待したい。
(編集長・増田 剛)