「津田令子のにっぽん風土記(48)」星空の感動を子供から大人にまで~千葉県館山市編~
2019年4月14日(日) 配信
千葉県館山市にある休暇村館山では、毎晩午後8時から星座説明と天体望遠鏡観察会を行っている。館内の天文台で、まずは大型スクリーンを使って星座の説明をする。その後、晴れていれば2階のバルコニーに出てその季節の星座を観察しながら説明し、150㍉の大型屈折望遠鏡も使って観察する。休暇村館山からは星がよく見え、天の川が見える日もあるほどだ。
今年2月に私が訪れたときに説明を担当していたのが、星のソムリエの資格を持つ高木謙志郎さんだ。子供から大人まで多くの人が参加するなか、高木さんは映像も使いながら、子供にも分かるようなやさしい言葉で、大人も知らない話をテンポよく進めていく。
高木さんは千葉市出身。サーフィンが好きで館山市に移住し、7年前から休暇村館山で勤務している。普段は営業のリーダーやフロント業務をしているが、宇宙の成り立ちには以前から興味があった。そして昨年、星のソムリエの資格認定に向けた講習を受けた。
星のソムリエとは星空案内人の愛称だ。星空案内人資格認定制度運営機構の運営する認定制度に基づき、全国の団体が認定講座を開講している。講座内容は星座や天文学の基礎知識、望遠鏡のしくみ、案内の実技などで、試験を経て認定される。高木さんは「もっと知識を広げたいと思っていたので、絶好のチャンスだと思いました。専門家に多く会えて、私の知りたいことがたくさんあったので感謝しています」と話す。
星空を眺めた後は、余韻に浸ったまま部屋へ戻れるよう、静かにプログラムを終わる。総支配人の矢田泰裕さんは高木さんについて「以前よりも自信を持って話しています。知識を学んだ成果でしょうね」。高木さんが担当した日は、アンケートに「非常によかった」「感動した」という感想が多く見られるそうだ。今後は、寝そべって双眼鏡で全天を見るようなイベントも行ってみたいという。
最後に、昼間の館山の魅力も教えていただいた。「桜のシーズンのおすすめは安房神社です。普通より低い、男性の肩くらいの高さのソメイヨシノの桜並木が見事です。見ごろは東京よりも少し遅め。また、4月でも暖かい日には海で水遊びができるので、お子様連れにはおすすめです。フロントにいると、道中のトラブルなどでチェックイン時に気落ちされているお客様もいらっしゃいます。しかし、チェックアウトのときには笑っていただけるようにと思っています」と語る。
コラムニスト紹介
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。