【特集No.521】平成の観光を振り返る デジタル化が旅を大きく変えた
2019年4月19日(金) 配信
「平成」最後の紙面となる今号は、「平成の観光を振り返る」をテーマに特集した。観光業界では、2008年10月の観光庁創設が大きな転換点となり、その後の訪日外国人旅行者拡大の礎となった。期を同じくして、日本でのiPhoneの販売が始まった。IT化の急速な進展により、OTA(オンライン旅行会社)での旅行予約が主流化した。スマートフォンの登場によって、リアルタイムでの情報収集や、SNS(交流サイト)での発信が可能となり、デジタル化が旅のスタイルを大きく変えた時代ともいえる。
【編集部】
◇
平成がスタートした1989年の年末は日経平均株価が史上最高の3万8915円を記録し、バブル経済の絶頂期だった。日本人のFIT(個人海外旅行)も増え始め、海外格安航空券販売で若者の支持を得たエイチ・アイ・エス(HIS)の躍進が目立つ時期でもあった。
宿泊業界では「旅館が旅の目的地」としての地位を確立し、豪華さを競い合った。80年代には8万軒を超えた旅館軒数も平成に入ると減少傾向に歯止めがかからず、16(平成28)年度には半減し、4万軒を割り込んだ。
一方、ホテルの営業軒数や客室数は増加傾向にあり、09(平成21)年度にはホテルの客室数が旅館を上回り、その差は年々拡大している。
□08年に観光庁創設
08(平成20)年10月に国土交通省の外局として観光庁が創設された。初代長官は本保芳明氏。日本の観光行政は長く、旧運輸省、国土交通省の中でも〝傍流”でしかなかったが、観光業界は観光庁の誕生に新しい時代の到来を感じ、大きな期待を抱いた。
訪日外国人旅行者数の激増は、その期待がかたちとして表れた一つだ。89(平成元)年には284万人だったが、18(平成30)年には10倍以上の3千万人超えを達成。15(平成27)年には45年ぶりに出国日本人数を上回った。
08年という年は、観光業界だけでなく、日本のこれから進むべき道を大きく変えた転換点だった。今から振り返ると幾つかの事象が符合する。
例えば……
【全文は、本紙1752号または4月25日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】