乗継ルートで表記揺らぎ HPに自動翻訳の誤訳も 観光庁
2019年5月2日(木) 配信
観光庁は4月3日、公共交通機関の駅施設などにおける多言語表記について、初の全国一斉調査の結果を公表した。整備が進んでいる一方、異なる事業者を乗り継ぐルートで揺らぎや情報が不足している箇所もあった。併せて外国人旅行者が、交通機関の利用時にみる主なホームページについて調べた。85社のHPを調査し、自動翻訳による誤訳や構造上の課題などが複数見つかった。
調査では外国人調査員が現地を歩き、乗り継ぎ案内などで誤訳や表記の揺らぎが無いかを探した。北海道から沖縄まで計80ルートを見て回った。一部を除き日本語の案内があれば、英語での案内もあった。とくに迷いやすいところには、英語に加え中国語や韓国語が併記されていた。
一方、課題点には「乗換先ごとに階段が異なる」「特急列車などの乗車方法が分からない」「表記内容が見えづらい」などが挙げられた。
課題解決に向け、先進的な取り組みもみられた。JR西日本・大阪駅では、ホーム上に路線ごとに乗換しやすい階段の案内版がある。
近畿日本鉄道・京都駅では、券売機付近に特急や急行を利用する場合の運賃や経路、乗り場などが整理して案内されていた。このほか、ピクトグラム(絵文字)で分かりやすく表記する例が多数あった。
HPでは全言語共通の誤訳の傾向が明らかになった。とくに自動翻訳では「小人」が、「dwarf(おとぎ話に出てくる小人などの意)」になるように、意味の通らない表現になる場合があった。
駅名の固有名詞も翻訳され、利用が難しいものもあった。
中国語では、簡体字ページに繁体字表記がある場合やこの逆になっていることが頻繁に見付かった。
このほかにも、HPの構造上の課題が散見された。時刻表などが、トップ画面から3、4回ページをまたがなければ確認できないことがあった。
ニュースリリースなど、閲覧の可能性が低いページが目立ち、乗車案内などが探しづらい場合があった。
同庁は「翻訳の完成度を高める必要がある」としたうえで、「外国人旅行者のニーズを理解し、必要な情報をより容易に見つけられるような取り組みも重要になる」と指摘した。