HIS、金融業に本腰 澤田会長兼社長「大きな柱に育てたい」 5年で利用者100万人目指す
2019年5月15日(水) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS)はテーマパーク事業やホテル事業に続き、金融業に本腰を入れる。5月14日(火)に会見を開き、ATM手数料無料などの新たな銀行代理業関連サービスを7月ごろに始めると発表した。澤田秀雄会長兼社長は同日の会見で、「大きな柱に育てたい」と意気込んだ。ブランド名は「Fimple(フィンプル)」。初年度で2万口の口座、5年で利用者100万人を目指す。
同社と子会社のHIS Impact Finance(東小薗光輝社長)、GMOあおぞらネット銀行(金子岳人会長)の3者で協業する。すでに今年3月、同行を所属銀行とする銀行代理業の許可を子会社が取得している。
同日に先行申込受付を始め、7月に銀行代理業関連サービス「フィンプルバンク」を試験的に開始。9月に本格的に提供し、10月から順次サービスを拡充する見通し。
来春には、旅行代金を後払いできる「旅行お帰り払い」といった個人向けのプランも提供する見通し。このほか修学旅行などの積立口座、旅行時の外貨預金や両替、実習生向け金融インフラサービスなどを始める予定だ。
提供はネット銀行のカタチをとる。スマートフォンのアプリ上で、預金や振込、出入金履歴など各種サービスができるようにする。サービス利用基本料、振込・ATM入出金の手数料は実質無料となる。
実際にかかるはずの手数料などのコストは同行が一旦負担し、同事業による将来的な収益からまかなう方向で、現在は協議している。一方、金子会長は「これまでとは異なる顧客へアプローチできる」と、HISグループとの連携に関する同行のメリットを語った。
世界ではすでに動きが出ている。ドイツ発の「N26」という会社は、基本サービスや手数料が無料だ。アメリカ発の「Simple」という会社も基本サービスは無料。収益は、同社が所属銀行の運用益をシェアするカタチをとっているという。2、3年後にはこのような流れが国内にも入ってくることを見越し、先手を打ちたい考え。
澤田社長は「時代の大きな変化なかで、金融業も大きく変わっていく。これはチャンスだし、HISとシナジーがある。まずは銀行代理業だが、将来的には銀行の免許を取りたい。10年ほどかけて、現在のHISと同等の収益を、金融業単体で上げていきたい」と展望を語った。