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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(100)良いサービスを引き出す力 「 笑顔と会話、そして名前」

2019年5月15日(水) 配信

(画像はイメージ)

 「あけましておめでとうございます」。2年ほど前までは、毎月のように通った喫茶店で声を掛けられました。「もう3月も終わりですよ」と返すと「だって、今年になって初めてですよね」。確かにこの2年間、数度しか行っていません。今回は5カ月ぶりでした。

 そこはJR博多駅の中にあり、毎日多くのお客様が来店する喫茶店。何故か行きたくなるのは、気持ちの良い会話のできる人がいるからです。極端にいうと、その人に逢うために博多まで行きたい、と思わせる。忘れられない人に、人はリピートするものなのです。

 この対応が個人的なスキルかといえば、その店のほとんどのスタッフが同じような対応をするのです。「ブラックでしたね。変わっていませんか」と声を掛けられ、「覚えていてくれた」とうれしくなりました。

 初めてのとき、スタッフが「すぐに戻ってきます」と言い、水とメニューだけ置いて席を離れました。戻ってくると「ごめんなさい。もう決まった」。馴れ馴れしい接客に違和感を覚える人もいるでしょうが、スタッフには、それを許せる温かい笑顔がありました。

 怒るどころか「コーヒーを下さい。おいしいやつを」と、冗談で応える私が居ました。すると、「了解。とびっきりおいしいコーヒーを用意しますね」と返してきます。この会話で心を掴まれました。丁寧だけでなく、お客様を幸せにする接客です。良いサービスを受けるには、良いお客様であること。良いお客様に、接客者は持つ以上の力を発揮し、最幸の接客をしてくれます。それを引き出すのがお客様なのです。

 「良いサービスを受けることのできない人に、良いサービスは提供できない」。同じサービスを受けても、良いサービスだと感じられる人とそうではない人がいます。感じる力の差です。より高いサービスの体験者の中にも、受けたサービスを良いものと感じない人もいるかもしれません。それは、サービスの楽しみ方を知らないからです。より高いサービスを知っているなら、満足できるサービスを引き出し、楽しむべきなのです。大切なのは、笑顔とコミュニケーション、そして名前なのです。

 初めて行ったラウンジで、「○○さん、コーヒーをお願いします」と注文した知人がいます。スタッフのネームプレートを見て、名前を呼んだのですが、一瞬で、スタッフの表情が笑顔に変わったのを覚えています。店内の雰囲気をサービススタッフだけに委ねるのではなく、お互いに快適な環境を創り上げてこそ良いサービスを受けることができます。それと、少しのわがままがサービススタッフの力を引き出すのに必要かもしれません。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

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