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〈旬刊旅行新聞6月1日号コラム〉“台湾の友人” 徐銀樹さん 本当の「宿の温もり」を教えてくれる  

2019年5月31日
編集部:増田 剛

2019年5月31日(金) 配信

徐銀樹さん(左)と筆者。北投温泉のAqua Bellaにて

 中華民国旅館商業同業組合全国連合会栄誉理事長の徐銀樹氏とは、とても親しくお付き合いさせていただいている。私ごときがおこがましいが、とても大切な「台湾の友人」だと思っている。

 
 2012年6月14日に、全旅連が岡山県で全国大会を開催した。その前日、倉敷市の鷲羽ハイランドホテル(当時)で総会と前夜祭が行われた。夜遅く、土地勘のない徐さんと私は、岡山駅まで2人で薄暗い電車に乗って帰ったのが最初だった。その後、毎年全旅連の全国大会では顔を合わせ、今年も6月5日に、茨城県水戸市で再会できることを楽しみにしている。

 

 
 学生時代、日本で過ごした徐さんは、台北市の中心で京都商務旅館と東京国際飯店という2つの宿を経営している。自他共に認める親日家で、東日本大震災が発生した際には、真っ先に東北の被災地を訪れた。全旅連など日本の旅館・ホテル関係者とも連携を強め、日台観光交流の拡大には、徐さんはかけがえのない存在となっている。

 
 旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の表彰式にも出席していただき、「日台間の相互交流がさらに育っていくこと」を力説されていた。その夜、東京を訪れた徐さんと、台湾観光協会東京事務所の鄭憶萍所長、野村美千子シニアマネージャー、そして弊社の石井貞徳社長と私も参加して、台湾の奥深い魅力を語り合ったことは、今でも楽しい思い出となっている。

 

 
 徐さんとはしばしばLINEで連絡を取り合う。何度も徐さんの経営する旅館に来てほしいと言われていたが、ようやく長年の念願が叶った。5月17―20日にかけて開催された「台北国際観光博覧会2019」の取材で、京都商務旅館に宿泊させていただいた。

 
 徐さんとは2日間、朝食を一緒に食べ、夜はホテルのロビーの奥にある小さなレストランでお酒を飲んだ。高級カラスミや、間もなく旬を迎える甘いマンゴーをたくさん振る舞ってもらった。台湾産のワインや、紹興酒などもご馳走になった。

 
 挙句の果てには、私が帰国する日の早朝に、北投温泉にある徐さんが所有する温泉リゾートホテル「Aqua Bella」にもマイカーで連れて行ってくれた。ホテルの広い客室で、私は北投温泉の素晴らしい温泉を堪能し、清潔で趣味のいい調度品に囲まれた空間で、本当のくつろぎというものを味わった。

 

 
 日本の宿泊業界は人手不足が深刻化しており、このコラムでも旅館やホテルの食事会場の活気のなさについて何度か触れてきた。しかし、徐さんの経営する旅館やホテルは、規模は小さいが、ロビーやレストランには明るい笑顔を見せるスタッフが目立った。日本語が話せるスタッフも多く、滞在中は温かみのある安心感に包まれた。

 
 「おもてなしがアピールポイント」だと自負している日本の旅館が多いが、果たしてそうだろうか。所作の美しさにこだわるあまり、客に過度の緊張を強いていたり、宿側の都合で布団を敷く時間に制限をかけたり、外国人にはまったく言葉が通じなかったり……。宿の独りよがりの「おもてなし」に陥っていないだろうか。

 
 台湾に行くなら、ぜひ京都商務旅館や東京国際飯店に宿泊してほしい。「宿の温もりとはなにか」を徐さんの宿は教えてくれる。 

 (編集長・増田 剛)

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