「提言!これからの日本観光」“10連休”に思う
2019年6月16日(日) 配信
今年のゴールデンウイークは、改元による新時代を迎えたため、さまざまな国民の祝(休)日がつながり“10連休”となった。国定の一斉休日のため、長期間、国内の経済と社会機能の一部がマヒする異常事態を招き、反省点が多く、後味の悪い連休だったように思う。「観光」には追い風で、各地がにぎわった。各地では連日、混雑が続き、交通と宿泊施設の混雑も激しかった。一部の観光地で、住民の日常生活に支障が生じ、全体として満足すべき観光効果は少なかったと思う。
交通機関側は、今年の連休で、従来の10連休(ゴールデンウイーク、年末年始など)に比べて、一部の人に動きの変化があった。これまで、連休初日は大都市圏から他地方へのいわゆる「下り」が混雑。連休最終日は大都市圏へUターンする「上り」が混雑する一方交通型の混雑となり、連休の中日ごろから混雑方向が変わった。
今年の10連休では、連休初日は下りが混雑したが、連休半ばに高原状の交通量のヤマが発生した。このヤマは「上り」、「下り」共、同じような混雑で4、5日続いた。
道路と鉄道も同様に混雑した。新幹線の主要駅や都心のターミナルでの、一時身動きできないような異常混雑には驚かされた。“10連休”という与えられた連休が、多くの人のニーズとのミスマッチだったことが、この混雑が示したと思う。すなわち“10連休”を消化しきれず、10日間を2、3度にわけて居住地から異なる地域への観光を繰り返すなど、小刻みに休日消化をしたと考えられる。また、前半在宅、後半外出もしくは、その逆の人も多かったと聞く。国内観光をするにあたり、“10連休”は想定外だったといえよう。
生活のテンポリズムが10日も休みが連続すると、狂ってしまい、連休後、元のリズムに戻すのにかなりの努力と時間が必要だった。そのためか例年の連休と異なり、連休最終日の「上り」の異常混雑が連休最終日の前日になった。平常の生活に戻るための時間を求めたからであろう。ここにも“10連休”の異常さが表れていると思う。
反省として、今年のような一方的に与えられた連休は効果的でないという事であった。好ましい連休は個人の志向による有給休暇の取得を中心とする、手作りの“自分の”休日によって充実をはかるべきと考える。
北海道のコンドミニアムに泊まり、1カ月近く滞在観光をする外国人が増えているという。休暇の取り方や宿泊施設の在り方を工夫し、このような連休の過ごし方も国内観光で導入したい。休暇を取りやすくする環境整備、とくに有給休暇への正しい理解が急務ではなかろうか。
適時適切な有給休暇の取得こそ今回の“10連休”で顕在化したさまざまな「連休公害」(?)を防ぐことと、より充実した真の「休暇」の実現と真の「観光」を味わうために緊急の課題だと痛感させられた“10連休”であった。
日本商工会議所 観光専門委員会 委員