観光庁×REVICで総額30億円の新ファンド 観光遺産を磨き上げ
2019年6月21日(金) 配信
観光庁と官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)は6月19日(水)、外国人旅行者の地方誘客や消費額増加をはかるため、多業種から成る「観光遺産産業化ファンド」を設立した。ファンド総額は30億円の見通し。日本ならではの観光資源である「観光遺産(文化財や国立公園など)」を軸に、観光事業者らに資本や専門人材を投入。観光遺産を磨き上げ、地域の観光振興の起爆剤とする。第1弾では、北海道と岩手、神奈川、山梨の4地域で取り組みを始める。
観光庁の金井昭彦審議官は同日に開かれた会見で、「観光資源の磨き上げは非常に重要。多様な関係者と連携し、より一歩踏み込んだ取り組みをしていきたい」と期待を込めた。
観光遺産産業化ファンドはREVICとして初めて、異業種と連携し事業を進めていく。観光は裾野が広く、多様なプレイヤーが参画する。このため、同ファンドの構造も官民公金が連携するなど多層化した。
さまざまな主体と手を組み、モデル事業を創出することで、ノウハウを地域金融機関や事業者に横展開していく。特定の地域ではなく、全国規模で支援地域を選ぶ。
地域への投資では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった最新技術を駆使するなど観光遺産を磨き上げていく。
2次交通などの観光産業そのものが抱える課題にも取り組む。各関係者とのプラットフォームを構築し、ICTやIoT、AIなどを用いて、解決に向けた実証を試験的に行う予定だ。
同ファンドの構造は4つの大枠がある。
1つ目のファンド出資者(有限責任組合員)はゆうちょ銀行や横浜銀行、山梨中央銀行、岩手銀行、北洋銀行の6行。
2つ目が、同ファンドを運営する観光産業化投資基盤(TiPC)となる。TiPCは、同ファンドの無限責任組合員として出資する。これまで国内外の観光地100カ所以上をVR化してきた凸版印刷のほか、ANA総研とNTTアドらから出資・出向を得ている。今後はREVICがTiPCの主体となり、ファンドの全体的な戦略作りなどに取り組む。
3つ目は戦略パートナー。日本航空(JAL)とJR東日本、近鉄グループホールディングス、ウィラーを向かい入れた。同パートナーは地域の案件ベースで連携していく。
このほか、REVICはすでに観光庁や日本政府観光局(JNTO)、日本観光振興協会、文化庁、環境省と包括連携協定を結んでいる。観光遺産を活用する際に、政策連携や支援を受けることがきる。
これら官民公金が連携し地域の課題解決の事業などを進め、地方創生を目指す考えだ。