観光課題解決へ 官民一体で海事観光を推進
2019年7月2日(火) 配信
国土交通省海事局は6月25日(火)に東京都内で、海事観光の未来を考えるシンポジウムを開いた。海事局の水嶋智局長は「海事観光のすすめ」と題し講演。「海事観光は広域周遊や地方誘客、『コト』消費への転換、富裕層向け観光コンテンツの不足といった日本の観光課題を解決するだけのポテンシャルがある」と説明した。推進のカギには、①情報発信の強化②地域間の連携強化③海事関係者と観光関係者の連携強化――を挙げた。
観光庁の田端浩長官は冒頭、「海事観光は、地方誘客をはかるうえで、大きな素材」と力を込めた。また、規制緩和の必要性にも触れ、「ルール変更は、需要が増えているときに行うのが良いと思う。訪日旅行者が増え、新しい需要が拡大している今、官民を挙げて取り組んでいこう」と参加者に呼び掛けた。
行政と運輸、食、旅行業界関係者6人が登壇し行われたパネルディスカッションでは、海事観光の魅力などについて意見交換が行われた。また、同観光を持続させるカギとして、「乗船」が目的になる仕掛けづくりや、海事分野以外の事業者との連携、周遊ルートの作成などが挙げられた。
パネルディスカッション登壇者は次の各氏。
【コーディネーター】波潟郁代(JTB 総合研究所 執行役員企画調査部長)【パネリスト】井手雅夫(熊本フェリー代表取締役社長)▽内山興(西日本旅客鉄道営業本部マーケティング戦略課長)▽家中みほ子(ぐるなびインバウンド戦略グループリーダー)▽杉山裕二(横須賀市文化スポーツ観光部企画課長)▽木村よし子(国土交通省海事局総務課企画室課長補佐)
□潜在的利用者層拡大へ
国交省海事局は同日、海事観光推進協議会を設立した。観光や海事関係業、経済団体関係者らによって構成。日本観光振興協会の久保成人理事長が座長に就任した。オブザーバーとして民間企業や自治体も加わり、情報共有と意見交換を行うほか、潜在的な利用者層の開拓と拡大をはかる。
第1回目の協議会では、「地方運輸局の海事振興部と観光部の連携など、地域における海事観光の推進体制を整えていただきたい」との意見が出されたほか、海の魅力を地方で発揮するための2次交通の整備などの重要性が共有された。