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「45年に短縮」決定、固定資産評価見直し

 石原大観光産業課長(左)と佐藤信幸全旅連会長

石原大観光産業課長(左)と佐藤信幸全旅連会長

“悲願”達成、15年度から適用

 固定資産評価基準の下限までの経過年数が45年に短縮――。12月12日にまとめた2014年度与党税制改正大綱において、ホテル・旅館の鉄筋鉄骨コンクリート造および鉄筋コンクリート造の建物について、固定資産評価基準の下限となる経過年数が、現行の50年から45年に短縮することが決まった。これにより、年間56億円の減税効果となるという。経営を圧迫し続ける固定資産税の軽減は、宿泊業界の長年の悲願であり、15年度の評価替えから適用される。
【増田 剛】

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年間56億円の減税効果

 固定資産税の見直しが15年度から適用されることが決まったことを受けて、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会は12月17日、東京・平河町の全旅連本部で会見を開いた。佐藤信幸会長は「宿泊業界が長年税制改正要望を行うなかで一番大きな実績である特別地方消費税が撤廃された運動に次ぐ成果であり、達成感がある」と高く評価した。

 佐藤会長は「固定資産税の見直しがようやく実現し、現行の50年から45年に短縮された」と報告し、「2011年度の税制改正大綱に検討事項に残ったが、検討事項に残るまでにも、何十年にもわたり、税制改正要望でも訴え続けてきた」と振り返った。

 12年度の税制改正大綱では、15年度の評価替えにおいて見直しを「対応する」という文言が入り、「この段階で見直しが決まったと思った」(佐藤会長)が、実態調査の実施や、調査結果の分析などの必要性があり、12年10月に実態調査「旅館・ホテルの維持補修に関する調査」を行った。その後、全国の宿泊施設から得た1103件の回答を、税理士や鑑定士などを含めた委員会に観光庁、厚生労働省もオブザーバーに加わり分析が行われた。そこで鉄筋鉄骨コンクリート造を例に、「躯体部分」「仕上部分(客室の補修・更新)」「設備部分(給排水管の補修・更新)」の3部門に分けて調査した結果、躯体部分が50年、仕上部分が22年、設備部分が21・6年という分析結果となり、これら個別の使用年数を基に考慮した結果、「36年」という最終残価率到達年数を導き出し、陳情活動など税制要望で訴えてきた。

 一方で、「躯体は50年よりもっと保つ」との考え方を譲らない総務省との協議で双方一歩も譲らず調整が難航するなか、観光庁も話し合いに入って交渉が続いた。

 佐藤会長は「36年を主張してきた我われの要望が100%通ったわけではないが、相手がいることでもあり、観光産業振興議員連盟や観光庁の支援もあり、45年という数字を勝ち得たことは、とてもありがたいと思う」と謝意を述べた。

 固定資産の下限までの件か年数が50年から45年に短縮されることで、年間56億円の減税効果が生まれるという。また、建築後10年経過している建物は現行に比べ、2・1%の減額となる。20年では5・9%、30年では10・3%、40年では19・8%と約2割が減額され、古くなるほど減税効果が大きくなるという試算だ。

 観光庁の石原大観光産業課長は「もう少し年数の短縮ができたのではないかという思いもあるが、税調当局も家屋類型間のバランスも大事にされるなか、長年なされていなかった見直しが行われたことは、最低限の水準ではあるが(宿泊業界の要望が)認めてもらえたと思う」と語った。

 現行の家屋類型は「事務所・銀行」「住宅・アパート」「店舗・病院」「百貨店・ホテル・劇場・娯楽場」「市場」「工場・倉庫・発変電所(一般用)」「公衆浴場」と全体で7つに分類されているが、新たに「ホテル・旅館」というカテゴリーが別枠で設けられ、8つの分類となることも「大きな前進」と佐藤会長は評価した。

 宿泊業界、観光庁も36年への短縮を要望するなかで、「45年」という数字に落着したことについては「100%我われの要望がと通るとは思っていない」とし、「一段落ついた」という捉え方をした。「宿泊業界には難題が多く、来年(14年)以降は、耐震問題に全力で取り組んでいきたい」と述べた。

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