【特集No.529】宮崎県観光協会 米良会長に聞く 新体制で「観光宮崎」の復活へ
2019年7月19日(金) 配信
みやざき観光コンベンション協会が4月1日から、宮崎県観光協会に組織名を変更した。15年前に観光関係3団体を統合して同コンベンション協会を設立。国内外の観光客、スポーツ・合宿、コンベンション(MICE)誘致を3本柱に事業を展開してきた。新体制は「新しい観光」を旗印に掲げ、県内市町村や他産業と連携強化をはかり、「観光宮崎」の復活を目指す。県商工会議所連合会会頭も務める米良充典会長に、観光再生への意気込みと今後の戦略などを聞いた。
【聞き手=九州支局長・有島 誠】
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――宮崎の観光再生に向け、組織名を変更して大きく一歩踏み出しました。宮崎の観光を振り返って、組織変更の狙いと、観光再生に向けた道筋について聞かせて下さい。
宮崎県観光協会の初代会長である岩切章太郎翁は、「大地に絵を描く」の理念のもと、日南海岸ロードパークの実現、こどもの国の開園などの大型観光開発を行い、新婚旅行のメッカとしての宮崎ブームを作りました。
「山高ければ谷深し」という言葉があります。かつての観光宮崎の高みから、いつの間にか深い谷に迷い込んだようなところもありますが、宮崎の観光は少しずつ動き出しました。まず観光協会の名称を変更し、理事、評議員のメンバーを増員しました。
それから、観光コンベンション協会の時代の過去15年間、その前の宮崎県観光協会時代も含めて、県内全26市町村の観光協会長を集めた会議をこれまで行っていません。各市町村が何をやっているのか、把握されていないところがありました。例えば、あそこの団子は旨いとか、神楽のような伝統文化などの情報を提供していただき、それら素材を生かして協会が発信することが大事です。とくにDMOを軸に、一市町村ごとのツールと泊りと遊びと、思い出作りをどうするかを考えていきます。
――具体的にはどう進めますか。
まず、県を4ブロックに分けて会議を行います。そこで忌憚のない意見をお聞きし、何を実行して、何を保留するか、どこにウェイトを置くのかという順番づくりをします。
例えば、椎葉村では、全九州少年少女相撲大会を開催する動きがありました。地元の10人の発起人が取り組んでいましたが、相撲部屋との接点がなかったため、私の方でコンタクトを取り、話を進めています。将来の巡業誘致につなげるのが目標です。
高千穂町ではこの5月の連休、15万人の観光客が押し寄せました。人気の高千穂峡の貸しボートの待ち時間が9時間半となり、夜中の12時から県外客が並びはじめ、朝の6時半には待ち時間の札がなくなりましたが、一方で高千穂に宿泊した観光客がボートに乗れない事態になりました。安全面、交通対策、優先順位の問題もクローズアップされ、対策を講じる必要に迫られています。
□宮崎らしいおもてなし復活へ
――宮崎県及び各市町村の現状を伺いましたが、改めて宮崎観光の課題は何ですか。
1つは宮崎県の中に尖がったものが高千穂しかないことです。50年前の最盛期には、宮崎市と青島と日南海岸、鵜戸神宮、霧島連山があり、これらの観光だけで宮崎観光の7、8割を占めていました。現在は高千穂だけに偏っております。やはり宮崎市が尖らないとダメだと思います。新婚客だけを追いかけ、リピートを考えなかったのが、県全体の低落の大きな要因です。今、県全体の復活が大きな課題だと思います。
それと、かつては修学旅行の観光バスが市内を通ると、通りに並ぶ土産店の社員が全員で手を振るなど、宮崎らしい温かいおもてなしがありました。しかしながら、「また来てね」という言葉を付け加えるのを忘れてきた。大きな反省です。
――課題にどう取り組んでいきますか。
青島や、堀切峠に来ていただいたところでの工夫が必要です。青島の植物園はリニューアルされ、屋内、屋外で楽しめるようになり、海外客もJRの青島駅でポツポツ見かけるようになっています。インバウンド成長率は、九州で宮崎は一番だと思っています。ホームページの刷新や、インターネットによる情報発信の強化、SNS(交流サイト)などあらゆる伝達手段を使ってPRを進めていきます。……
【全文は、本紙1762号または7月26日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】