直筆の思いつながりに
宿泊施設の客向けのアンケートといえば定型のものばかりで、ほとんどの人が気に留めないだろう。熊本・菊池温泉のある旅館では、手書きの特製アンケートを印刷して使っている。用紙には、太陽が笑ったイラストと「アンケートできます」の文字。本来アンケートは宿が客にお願いするもので、「できます」の部分に一瞬疑問符がつく。しかしその違和感は宿の思惑通りで思わず手にとってしまう。アンケートを変えてからは回収率が上がり、何より記入内容が詳細になったそう。「最近良かったこと」という質問に書かれた内容が、後に客との会話の種になることも。
インターネットで簡単に口コミを書き込める時代だが、少しの工夫で得られる直筆のメッセージは、宿と客のつながりを強めるキーになりうるのでは。
【市沢 美智子】