観光庁ら、イベント民泊ガイドライン改訂 物件数少なく さらなる普及を
2019年8月1日(木) 配信
観光庁と厚生労働省はこのほど、イベント民泊ガイドラインを改訂した。イベント民泊の要件となる宿泊施設の不足の判断などについて、具体的な事例の追加などをした。ラグビーW杯や東京五輪などの大規模イベントを目前に控えるなか、イベント民泊をより活用してもらう狙い。
併せてこれまでのイベント民泊実績も発表(同庁と同省の調べ)。15年7月10日から19年7月25日までの約4年間で、1イベント当たり平均提供物件数は11件、平均延べ宿泊者数は40・3人と少なかった。
イベント民泊とは一定条件のもと、旅館業法の営業許可なく宿泊サービスができるもの。一定条件は①イベント開催時であり②宿泊施設の不足が見込まれ③開催地の自治体の要請などで自宅を提供するような公共性の高いもの――となる。
今回の改定では①宿泊施設の不足の判断方法と部局間の連携、業務委託の方法などについての具体的事例②自宅提供者から自治体への申込書などについて統一的な様式③自宅提供者に対する研修などにおいて周知・指導すべき留意事項に、衛生面や安全面における留意点――の3点を新たに盛り込んだ。
イベント民泊実績をみると、これまでの計34のイベントで提供物件数は計374件だった。1イベント当たり平均は11件で、提供物件数が1件のイベントも1つではなかった。
延べ宿泊者数は計1288人だったが、このうち上位3つのイベント(17年の徳島市阿波踊り、ツール・ド・東北 2017、ツール・ド・東北 2018)で約半数を占めた。上位3つのイベントを除いたイベント民泊での平均延べ宿泊者数は20人を切った。
ただ、動きは活発化しつつある。17年のイベント民泊合計は10件だったが、18年は20件と急増した。このほか、熊本県と民泊仲介大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は19年7月、大規模な祭りイベントやラグビーW杯に向け、イベント民泊の自宅提供者を募るためのプロモーションを合同で行うと発表している。
今回、一部項目の具体的事例や統一的な申込書などを新たに盛り込んだことで、イベント主催者と自宅提供者らが円滑にイベント民泊をできるようにし、宿泊施設不足対策の1つとしてさらなる普及をはかる考え。