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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(103)「私」を待つ部屋に感動がある 「現場からメッセージを書く」

2019年8月5日
編集部:平綿 裕一

2019年8月5日(月) 配信

(画像はイメージ)

 弊社が年に2回、主催している「おもてなしセミナー」開催前のことです。半年間に出逢った感動サービスをまとめるためと、モチベーションを上げるために訪れることにしているのが「リッツカールトン東京」です。訪れるたびに新しい気付きをくれる、私にとって大切な場所でもあります。

 「今回はどんな感動に出逢えるのだろうか」とわくわくしながらその日を迎えました。チェックイン時に「西川様、お帰りなさいませ。今日はアップグレードしてスイートルームをご準備いたしました。ゆっくりとおくつろぎください」と迎えられました。その瞬間に1つの不安がよぎったのです。

 宿泊業のクライアントや講演、セミナーでも、「チェックイン時に端末を操作して、その時の空室から適切な部屋を割り振るようなやり方をしてはいけません。安易なアップグレードはしないでください」とよく話をします。アップグレードで喜ばれて次回利用に結び付いても、予約通りの部屋しか準備できなかったら、お客様は残念、あるいは不満にすら感じるのではないでしょうか。

 しかし、リッツカールトン東京では、客室に案内をされてその不安は一瞬でなくなりました。部屋のテーブルには、メッセージカードがちゃんと置かれていたのです。つまり、ホテルに到着する前から、その部屋は私のために用意されていたのです。当日の部屋の清掃をして、私の到着をずっと待っていてくれたのです。その想いが、とてもうれしかったのです。

 置かれたメッセージカードも印刷ではなく、私宛の手書きのメッセージだったのです。さらに、初めて宿泊した10数年前から変わらず、いつも用意してもらうズボンプレッサーが、部屋の隅にあったのです。間違いなくその部屋は、私の好みに合わせた部屋だったのです。

 メッセージカードを置くホテルも増えています。手書きだと手間もかかることでしょう。「以前は実行していたが、効果がないので止めました」という声を聞いたこともあります。

 よく聞いてみると、そのメッセージカードは印刷されたものでした。印刷でも構いませんが、もっともいけないことは、そのメッセージを発信した人がお客様と出逢っていないということです。

 やはり一度はリアルに出逢うことにより、そのメッセージカードが初めて生きてくるのです。メッセージの内容は、個客をイメージした個別メッセージが喜ばれることは間違いありません。そのためにも現場からメッセージを書く人に、個客情報のバトンを渡すことのできる仕組みを創造することが、おもてなし経営を実現するのです。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

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