14年度観光予算2%増の98億円、VJは優先枠含め61億円に
2014年度政府予算案が13年12月24日に閣議決定され、14年度の観光庁関係予算は13年度予算比2%増の98億1100万円となった。8月の概算要求では、同19%増となる114億4100万円を要求。厳しい財政状況を受けた予算編成のなか前年度比微増を確保した。ビジット・ジャパン(VJ)事業は、通常事業が同14%減の49億300万円と減少したが、政府の成長戦略などの重点施策特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」に盛り込まれた「戦略的訪日拡大プランの推進」12億200万円を合わせると、同7%増の61億500万円となった。また、復興庁計上分の「復興枠」は同5%減の5億4900万円で、観光関連の合計では同1%増の103億5900万円と、かろうじて100億円の大台を突破した。
【伊集院 悟】
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予算項目は(1)訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進(2)観光地域づくり支援(3)旅行振興(4)観光統計の整備――の4本柱となった。復興枠は前年度と同じ(1)東北地域観光復興対策事業(2)福島県における観光関連復興支援事業――の2事業。各項目の事業内容は、基本的に概算要求時のものと同様だ。このうち、「インバウンド政策の推進」のみが前年度比でプラスとなった。
「訪日外国人旅行者数拡大に向けたインバウンド政策の推進」分野は、前年度予算比4%増の84億9700万円を計上。中核となるVJ関連事業は、「新しい日本のための優先課題推進枠」の「戦略的訪日拡大プランの推進」12億200万円を含めて同7%増の61億500万円となった。
「戦略的訪日拡大プランの推進」は、経済成長とビザ緩和が追い風となっている東南アジアを、4大市場の東アジア各国に並ぶ訪日市場へと育てるために、集中プロモーションをかける。また、訪日外客数2千万人へ向けて今後大幅な増加が期待できる市場に対し、インパクトのあるテレビCMや屋外広告、多言語の訪日サイトで、旅行先としての認知度向上を目指しプロモーションを展開する。概算要求時に含まれていたイタリア、スペイン、オランダ、フィンランド、トルコに加え、インド、ロシア、スウェーデン、ベルギー、デンマーク、オーストリア、ノルウェー、ポーランド、イスラエルが対象に含まれたが、ブラジルとスイスはカットされた。
新規事業の「宿泊施設の情報提供促進事業」は1100万円を計上。外国人旅行者への実態調査をもとに、ホテル・旅館の施設の状況や各種サービスの有無などについて効果的に情報提供できるよう、情報提供ガイドラインの策定や活用方法の検討を行う。また、夏以降に旅館団体などを通して旅館経営者へ実態調査を行い、経営への影響・効果を分析し、旅館のブランド化と知名度向上につなげる。
そのほか、近年重要性が認知されてきた「国際会議等(MICE)の誘致・開催の促進」は同11%増の4億5千万円と大幅増となり、「通訳ガイド制度の充実・強化」は同25%減の1900万円、「JNTO運営費交付金」は同4%増の19億1200万円となった。
「観光地域づくり支援」分野は、同4%減の5億2200万円を計上した。13年度第1次補正予算で4億円を計上した新規事業「観光地ビジネス創出の総合支援」に7200万円。補正予算分でビジネスモデルを構築し、14年度予算分では地域の取り組みを発信するポータルサイトを開設し、地域間のノウハウ共有の仕組み作りを目指す。また、マーケティング手法などの実学を含む講習も実施していく。
継続事業の「観光地域ブランド確立支援事業」は同20%減の2億7400万円、「地域観光環境改善事業」は同13%減の8600万円、「観光地域動向調査事業」は同3%増の3900万円、「観光地域評価事業」は同2%増の5千万円となった。
「旅行振興」の分野は同40%減の6千万円。「旅行の安全の確保・向上方策検討調査」に同5%減の2400万円、「ユニバーサルツーリズム促進事業」に同6%減の3700万円となった。
そのほか、観光統計の整備に同17%減の4億2900万円、「経常事務費などのその他」に同6%増の3億200万円を計上した。
また、復興庁に計上される復興枠では、継続事業の「東北地域観光復興対策事業」に同12%減の1億7500万円、「福島県における観光関連復興支援事業」に同1%減の3億7400万円となった。