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「観光革命」地球規模の構造的変化(214) 北海道7空港の民営化

2019年9月1(日) 配信

※画像はイメージ

 北海道内7空港の一括民営化の運営事業者が8月に決定された。道内7空港(新千歳、函館、旭川、釧路、帯広、女満別、稚内)の一括民営化は昨年8月に1次審査が行われ、応募4グループの審査結果は、1位オリックスと仏バンシエアポート企業連合、2位仏パリ空港公団等の企業連合、3位北海道空港(HKK)等の企業連合、落選シンガポールのチャンギエアポートグループ等の企業連合であった。ところが1位評価のオリックス等企業連合が辞退したために最終審査は2位と3位の企業連合の一騎打ちになり、最終的にHKK企業連合が逆転勝利した。

 一括民営化の運営事業者に内定した企業連合(北海道エアポートグループ)は、HKK、三菱地所、東急電鉄、日本政策投資銀行、北洋銀行、北海道銀行、北海道電力、サンケイビル、JAL、ANA、三井不動産、三菱商事等で構成され、特定目的会社(SPC)を設立して7空港の運営を行う予定だ。

 HKK中心の企業連合はすでに「世界の観光客を魅了し、北海道全域へ送客するマルチ・ツーリズムゲートウェイ」構想を公表している。新千歳一極集中を是正して、訪日外国人客を6空港に呼び込む必要があるために国際ゲートウェイ(GW)機能を7つに段階的に拡大して旅客数の大幅増加を目指している。今後30年間に4290億円の投資(新千歳2950億円、6空港1340億円)を行い、路線数(65から142へ)の増加、旅客数(2846万人から4584万人へ)の増加を目指している。

 7空港の役割分担を明確にして、新千歳はグローバルGW、函館と旭川は広域GW、稚内、釧路、帯広、女満別は地域GWと位置づけ、各空港の特性や潜在的旅客需要を踏まえながら戦略的に路線拡大を図り、旅客数の増加につなげる予定だ。北海道の魅力を発信する空港のショーケース化を推進し、空港の魅力向上による地域活性化への貢献、地域産品の輸出促進等も意図している。さらに安全・安心を最優先とした長期安定の空港運営についても緊急時対応や保安レベルの向上に努めるとともに、空港周辺地域の自治体等との信頼関係の構築に努める。道内7空港の一括民営化は日本観光にとって極めて重要な事業であり、着実な成功を期待している。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

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