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【特集No.533】旅館ホテル組合と警察署が協定 外客対応など“別府モデル”全国へ

2019年9月10日
編集部

2019年9月10日(火) 配信

 大分県別府市旅館ホテル組合連合会(西田陽一会長)と別府警察署(佐藤由布美署長)は8月26日、同署内で「外国人旅行者などの対応に関する協定書」の調印式を行った。旅館やホテルで外国語対応が可能な人材が「通訳人」としてトラブル解決に協力する。併せて両者は風俗営業法ガイドラインも作成した。「接待」と「接客」の定義を明確にし、「接待」行為に当てはまらない宿泊施設は「風俗営業許可証の返納」への道筋も示された。旅館・ホテルと警察署が連携して「安全で安心な観光地」を目指す“別府モデル”が始動した。
【増田 剛】

 「外国人旅行者などの対応に関する協定書」は、別府市を訪れた外国人旅行者が困ったときに、市内の宿泊施設に勤務する語学堪能な人材がトラブル解消などに積極的に協力し、「安全で安心な別府市を目指していく」という内容だ。

 現在、別府警察署には、外国語の通訳が可能な警察官が約10人在籍している。しかし、3交代勤務のため、常時そろうことはなく、対応言語も英、中、韓国語など限られている。急増する外国人旅行者への対応に苦慮していた。

 9月20日には、ラグビー・ワールドカップ2019が開幕する。大分県内でも試合が開催され、外国人旅行者のさらなる増加が見込まれる。

 このような状況のなか、佐藤署長は「以前から別府市旅館ホテル組合連合会と対策を模索していた。今回の協定は課題解決の一つの方策となる」と両者の協力関係の強化に期待を寄せた。

 佐藤署長によると、6月13日に開かれた別府警察署協議会で、「訪日外国人対策」について委員に諮問を行ったところ、「『旅館・ホテルには外国語対応が可能な人材が豊富。旅館ホテル組合連合会の協力体制を整備することで、お互いに有用なシステムができるのではないか』との意見もあった」という。

 この意見に基づいて、両者が協議を重ねていった。意向調査では、同市内16施設66人の従業員が協力可能で、対応言語は7カ国語に及ぶ。

 今回調印した協定では、物の遺失や拾得、迷子(行方不明)、盗難被害届など、犯罪捜査に至らない程度の事案(警察事象)が対象となる。外国語対応が可能な66人は「通訳人」として無償で協力する。

 警察事象が発生し、警察で外国語対応ができないときには、警察官が当事者とともに、「通訳人」が勤務する宿泊施設に出向く。警察から「通訳人」への依頼は午前9時から午後5時までとし、30分程度を想定している。

 協力する旅館やホテルには英、中、韓、タイ語の「質問票」を備えている。外国人旅行者が「困っていること」を事前に記入することでスムーズな処理が可能になる。

安心して働ける 職場環境づくりへ

 一方、別府市旅館ホテル組合連合会の西田会長は、「困ったお客様には親切丁寧に接し、“別府温泉のファン”を増やしていきたい。そのために我われ組合は、別府警察署に最大限の協力をしていく」と強調した。「観光産業が成長し、地域に貢献し続けるには、これまで以上に安心して過ごせる安全な社会の確立が不可欠」との考えからだ。

 それだけではない。「優秀な人材を採用していくには、スタッフが安心して働ける職場環境づくりが必要」との視点から、別府警察署の指導のもと、「風俗営業法ガイドライン」を作成した。…

【全文は、本紙1766号または9月18日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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