観光庁、「リカレント教育」を 復職時はスキルより精神的ケアに 第2回 女性活躍推進有識者会議
2019年9月27日(金) 配信
観光庁は9月27日、観光分野の女性活躍推進に向けた第2回の有識者会議を開いた。このなかで文部科学省からは、女性の復職時に知識や技術のギャップを解消するための「リカレント教育」が紹介された。今年度から観光系のプログラムも始まっている。
ただ委員からは「復職時はスキルだけなく、精神的な面をケアする必要がある。一定期間仕事から離れると、仕事をする自信が薄れる」との声も出た。復職への資格取得支援なども必要な一方、まず一歩踏み出してもらう工夫が大事になりそうだ。
旅行業界などで働く女性の現状・課題の聞き取りも行った。19年4月時点における旅行会社管理職の男女割合が発表され、店舗営業に主軸をおく旅行会社以外の女性管理職割合は、ほとんどが20%を下回るなど低いことが分かった。
「(女性活躍推進は)遅々として進んでいない」――。
日本旅行業協会(JATA)内にある女性の地位向上を目指す「LADY JATA」委員会で、委員長を務める山本綾子氏(=日本旅行国際旅行事業本部公務法人営業部副本部長)はこう語った。
同委員会は2012年に発足し、業界でも草分け的な組織。16年には女性活躍推進に関する提言を出している。山本氏は経営陣と職場環境の意識改革も必要だが、「女性自身も働くという覚悟・自覚を持たなければならない」と強調した。
一方、女性活躍に向けては、まだ開拓しきれていない分野もある。近年市場が伸びているMICE分野だ。
会では、MICE運営や管理の勉強会などを行う、MPI Japan Chapterの山本牧子名誉会長がゲストスピーカーとして発言した。MPIは1972年に米国で創立。MICEの手配などをするミーティングプランナーなど、MICE専門家1万8000人以上が加盟する国際非営利団体となる。
山本氏は「日本でも1995年から活動を行っているが未だ浸透していない現状がある。世界でみると、MPI会員のうち女性の割合は8割ほどと高い。日本でもミーティングプランナーとして活躍する女性を増やす余地はある」と語った。
そもそも働き手としての女性の潜在的な市場は多い。文科省によると、18年の調査で就職を希望する女性は237万人と推計している。しかし、「(観光業で)実際に就職を希望している人材を探し出すことは難しい」と事務局は頭を抱える。
今後、眠れる人材へいかにアプローチしていくかが、復職への後押しと同様に、越えるべき壁となりそうだ。