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【特集No.535】新潟県知事就任1年を迎えて 愛着と誇りを持てる「新潟」へ

2019年10月1日
編集部:長谷川 貴人

2019年10月1日(火) 配信

 就任から1年を迎えた新潟県の花角英世知事は、これまで行政と観光産業の連携強化をはかり、“観光局の独立化”をはじめ新潟県が抱える観光の課題解決に取り組んできた。本紙の鼎談には観光業界の代表者として、新潟県観光協会の小林庄一理事、新潟県旅館ホテル生活衛生同業組合の野澤幸司理事長を加えた3氏が登場。新潟県の観光施策や魅力、10―12月まで展開する9回目の「デスティネーションキャンペーン」(DC)、さらなる観光活性化への想いなどを語り合った。

【司会=本紙社長 石井 貞德、構成=長谷川 貴人】

 ――知事に就任し1年余りを振り返っていかがですか。

 花角:この1年間、精一杯走ってきたという印象です。就任直後からのキャッチコピーとして、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」を目指していきたいと申し上げました。まさに「住んでよし」の部分、「訪れてよし」の部分を少しでも目標に近づけるように、努力してきたつもりです。

 1つの具体的な政策としては、産業労働観光部内の組織だった「観光局」を、単独の独立した部局に格上げしました。前向きな気持ちを醸成できたのは1つの成果だと思っています。

 外国人旅行者の延べ宿泊者数も2018年に40万人泊を超え、伸び率も全国でトップクラスです。3年に一度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や、海外からのスキー客の増加も大きく影響しています。

 ――観光局は独立して変化はありましたか。

 花角:観光局長の位置付けが高くなったことで、予算の裁量権も広がりました。外に出向いたときの交渉なども動ける余地が広がったと思います。観光局の職員の意識が変わってきました。

 ――旅館業界も新潟県の観光振興に大きな役割を果たしています。

 野澤:07年に小林さんの後任で新潟県旅館ホテル組合理事長に就任しました。03年に小林さんは、当時の旅館3団体(国観連、日観連、生衛組合)を見事に統合しました。とりわけ観光事業に大きく舵を切る事ができるようになりました。

 04年中越地震、07年中越沖地震と2度も大きな地震に見舞われ、新潟県観光は大変な危機に陥りました。そんななか、女将さんたちが自ら立ち上がり、新潟女将の会を設立しました。

 観光復興にはDCが不可欠です。県と一緒にJRに働きかけ、09年と14年にDCを見事に成功し、新潟県観光の発展につながりました。

 そして、今回9回目のDCを展開できることは、新潟県観光の新たなる出発点となると思っています。南の方は世界から注目される「大地の芸術祭」が根付いてきました。そして北の方は、日本庭園などの伝統建築が集中する「にいがた庭園街道」というものができつつあり、可能性がさらに広がります。

 ――小林さんは旅館業界に加え、新潟県観光協会の理事という立場からどのように観光行政を見ていますか。

 小林:花角知事は積極的にトップセールスをされており、とてもありがたいと思っています。県のトップが出ていただけると、相手も当然トップが対応しますので、交渉がスムーズに動きます。知事が就任後、早くも成果が出ていると感じています。観光局が独立したことで、観光に携わる多くの県民に勇気を与えられたと思います。

 ――2次交通の課題について。

 花角:旅行者側が個人、少人数単位に変わっていくなかで、バスが用意されている団体旅行ではない人にとって2次交通は大切な移動手段です。県も努力を重ね、9月から福島県・会津若松と新潟駅までを結ぶ高速バスを、新潟空港まで延伸いたしました。長岡駅から新潟空港への早朝の高速バスも走ることになり、接続できなかった早朝便を減らすことができました。今後も力を入れて整備を進めていきたいと思っています。

 ――新潟県のブランド化について。

 野澤:04年の新潟県中越地震のときに新潟県の観光力、県のブランドについて議論しました。

 青年部から米・酒・肴という3つのキーワードが出て、「新潟県の美味いものを前面に立てて新潟県のDCをやろう」となって、「うまさぎっしり新潟」というキャッチコピーができました。

 新潟県旅館ホテル組合が「朝ごはんプロジェクト」と「にいがた地酒の宿」、女将による「スイーツめぐり」、かつてはお昼にご当地丼を食べてもらう「ライスボウル」などを開発しました。食をブランドにすることでお客さんに来ていただけるようになりました。

 小林:「新潟県は美味しい食とお酒がある」と言われます。

 けれど以前に、外国の方から「どこの県の人も同じこと言いますよ。新潟はもっとトンガリがないのですか」と言われたことがあります。「痛いとこ突かれたな」と思いましたが、そのときに新潟県は「錦鯉」の産地として非常に有名であると説明しました。錦鯉は喧嘩しない平和の魚です。錦鯉は新潟県の売り物になるという気がして提言するようになりました。…

【全文は、本紙1770号または10月7日(月)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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