【特集No.536】中国・韓国・台湾・香港 注目の訪日4市場はどう動く?
2019年10月11日(金) 配信
日本政府観光局(JNTO)は9月12、13日の2日間、第22回「JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」を開いた。JNTOの各国事務所長らが現地の最新動向や、訪日客のニーズなどについて報告した。昨年、訪日外国人旅行者数は3119万人と過去最高を更新し、政府が掲げる2020年4000万人の目標達成が近づいてきたかに思われた今夏、東アジア市場は急転回をみせた。注目の中国、韓国、台湾、香港の4市場の最新動向を紹介する。(台湾、香港は3面に続く)
【入江 千恵子】
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≪中 国≫
未訪日層は多数いる
中国人の訪日旅行者数は、昨年838万人(前年比13・9%増)と過去最高を記録した。19年上半期も前年同期比11・7%増と前年を上回り、7月には単一市場で初めて100万人を突破。好調を維持している。
中国で個人の海外旅行が解禁された1997年から約20年が経ち、昨年のアウトバウンド数は7342万人に達した。だが人口14億人に対しての割合は5%で、訪日率は1%に過ぎない。香港市場の訪日率は30%、台湾は20%、韓国は15%と、他市場と比べても圧倒的に低く、「まだ日本に行ったことがない人がたくさんいる。これらの人は心強いターゲットになる」と、北京事務所の齊藤敬一郎所長は今後のさらなる伸びに期待を込めた。
近年は所得が高い上海、北京、広州などの沿海部都市からだけでなく、成都や重慶など内陸部の都市からの旅行も増えている。「日本ではなじみが少ない都市が多いが、今後、日本に来てもらえるよう取り組んでいきたい」と述べた。
人気の旅行先は、香港、マカオ、タイに続き、日本は4番目=表。タイの人気が高い理由は「中国人が旅行先を選ぶとき、最初に検索するワードは『ビーチリゾート』。中国人にタイのビーチリゾートは有名で、この順位を崩すのはなかなか難しい」と課題を挙げた。
リピーター急増18年は4割超え
中国人の訪日旅行者を月別でみると、春節、桜、夏休み、国慶節と4つのピークがある。旅行形態は、個人旅行が63・4%、団体が36・6%(いずれも18年)と、個人旅行に移行しつつあるが、東アジア市場の中で団体の割合が最も高い。人数も306万人にのぼり、「引き続き団体旅行もターゲットにしていくことになるだろう」との見通しを示した。
中国人客数の増加に伴い、リピーターも急増している。15年のリピーター率27・5%に対し、18年は40・9%まで上昇。旅行の形態は団体から個人へ、ゴールデンルートから地方にシフトしている動きがみられる。
消費額もリピーターになるほど高くなる傾向がある。「10回以上は、さらに増えるデータもある。リピーターを増やすことが課題」だとした。
齊藤所長は最近の北京での中国人のようすについて、「以前に比べてマナーが良くなり、洗練されてきている。日本人と同じように接してもらうのが良いと思う」と提案した。
【全文は、本紙1772号または10月18日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】