「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(11月号)」
2019年11月24日(日) 配信
〈巻頭言〉
1年前のこの時期、本誌では日本酒特集を組みました。その後、フランスにおける日常的な日本酒の消費量が劇的に増えたわけではありませんが、フランスで日本酒普及に携わる人たちや、日本の地方自治体によるプロモーション活動も功を奏し、質の良い商品が身近に手に入る環境が整いつつあり、美食家たちの「sake」に対するイメージや認識が少しずつ変わってきたのは確かです。日本における輸入ワインの普及と比較すると、日本酒の輸出の歴史は始まったばかりと言えます。さて、今号では、現在第7次ブームが起きていると言われる、日本国内でのワインの動向に着目。全ページを通して日本のワインを特集しました。フランスでは、ワインの消費量が年々減少しているものの、量より質を求める傾向にあるため、経済的には上向きです。21世紀の日本人がワインに求めるものは?
(編集長 クロード・ルブラン)
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□特集 「ワイン特集」
日本におけるワインの歴史は浅い。国内で初めてワインが飲まれたのは、開国後、明治時代だ。しかし、外国から届いたこの酸味の強い赤い酒は、日本人の口に合わなかった。その後も長い間日本人のワイン作りへの意識は低く、国内では、ブドウジュースにアルコールと砂糖を加えり、食用の傷物ぶどうを原料にしたり、輸入物の安いワインをブレンドしたりしながらワインの生産を続けていた。近年、ワイン用のぶどうを栽培するワイナリーが増え、2015年からは国産ぶどうのみを原料にしたものを「日本ワイン」と呼び、輸入ぶどうを用いて国内で生産される「国産ワイン」と区別されるようになった。日本ワインの品質は年々世界的にも知られるようになってきている。■自らもワイナリーを経営するエッセイスト・玉村豊男氏が語る日本におけるワインの移り変わり。■世界のソムリエ・田崎真也氏にインタビュー。■フランスでワインを学び、岡山で自然ワインを造る大岡弘武氏を取材。■アマチュア向けのワイン試飲会で参加者に話を聞いた。■漫画、映画……。ポップカルチャーに見るワイン。■東京のワインバーで聞いたおすすめ日本ワイン。■日本ワインの中心地、甲州をたずねる。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉今、おにぎりが熱い
本誌の2017年6月号で取り上げたフランスでのおにぎりブームの予兆から2年強、とうとう本格的なブームの到来です。現在のブームを遡ると、印象に残っているのは2013年に日本人女性2人がパリ10区にオープンした「ムスビ」。まるい色鮮やかなお結びを中心としたおしゃれなお弁当が話題になりました。2015年、パリで本格的なおにぎり販売を打ち出したのは、当時から人気のうどん店、国虎屋を営む野本将文さん。パリ日本文化会館内にも、イクラや鮭が贅沢に入ったボリュームあるおにぎりの専門店を開店しました。同じころ、市内11区に登場した「からあげや」のシンプルなおにぎりは消費者の底辺を広げ、2017年には日本のブランド「おむすび権兵衛」がパリ市内に出店、ブームに勢いがつきました。以来、手軽に作れ、グルテンフリー、ベジタリアンという近頃の若者の食の傾向にも問題なく応えることができ、コストパフォーマンスの良いこの日本のソウルフードは、フランスの地方都市ばかりでなく、ヨーロッパ内でも確実に存在感を強め、目下、おにぎりを扱う店が続々とオープン。Onigiriという言葉が辞書に載る日も遠くないかもしれません。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉