仙巌園 世界文化遺産を紹介 オリエンテーションセンター開館
2019年12月2日(月)配信
鹿児島県鹿児島市の島津家の別邸「仙巌園」に11月1日、「世界文化遺産オリエンテーションセンター」が開館した。
同園や尚古集成館一帯は、2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「旧集成館」として、世界文化遺産に登録された。反射炉跡など薩摩から始まった近代化の歴史を発信する施設となる。
旧集成館は島津家28代当主斉彬が築いた日本最初の工場群として、大砲の鋳造や蒸気船の建造などに挑戦した。その技術が近代日本の大きな原点となった。
ただ、集成館事業の中核となる反射炉跡は、韮山(静岡県)や萩(山口県)のものと違い、基礎部分が残るのみで、「何が世界遺産に登録されたのか、全容が分かりにくい」という課題があった。
平屋建ての同センターは、反射炉跡側に面した壁を一面ガラス張りにするなど、施設内から反射炉跡を眺められるようにして、世界文化遺産と一体的に感じられるようにした。
館内中央には、高い煙突の反射炉10分の1模型を配置し、薩摩焼の陶工が焼いたという土台の耐火煉瓦も精巧に再現。一部断面を見せて構造を分かりやすくし、鋳造された大砲模型も展示する。
壁面には、世界遺産の概要や薩摩藩の近代化、集成館事業などパネルで展示した。スタッフが常駐し、案内も行う。