「津田令子のにっぽん風土記(56)」イベントを通して嬬恋村の魅力発信~群馬県嬬恋村編~
2019年12月20日(金) 配信
今年4月まで総務の仕事に従事していた黒岩秀樹さん。「異動してから半年が経ち観光の仕事は1人では難しい事でもみんなで力を合わせれば1+1が、100にさえなると実感しています」と語る。村ではキャベツマラソンをはじめ、さまざまなイベントを行っているが、黒岩さんは前任者から受け継ぐ形でイベントのまとめ役を担当している。
嬬恋村では2006年から日本愛妻家協会を中心に、「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」というイベントが始まった。
万座温泉をはじめ、泉質の異なるさまざまな温泉が湧出する温泉郷として、また標高1千㍍超の地形を生かした高原野菜の生産地としても有名だ。「嬬恋キャベツ」といえば全国的にも知名度が高いブランド商品だ。
収穫時期は7~10月。そんなキャベツ収穫期の真っ只中、愛妻家の聖地、愛妻の丘で「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ2019」が開催された。開催日は9月8日。叫び開始時間は「いいふうふ」にちなんで午前11時22分。「愛してる」「大好き」「いつもありがとう」と叫ぶと、拍手喝采が起こり感極まって涙する人もいるという。
「叫ぶ言葉は違っていても愛情がこもっていれば何を誰に叫んでもいいんですよ」と黒岩さん。嬬恋村の男性はシャイな方が多いそうで、ご自身も「恥ずかしくて叫べなかったんです」と話す。「過去には、実際にプロポーズした方もいらっしゃいました」。
「嬬恋のキャベツは、甘味もあってやわらかいのに、シャキシャキしているので生で食べることが多いんです」と黒岩さんは誇らしげに語る。
また住民によるプロジェクト「妻の手しごと」で発売した「嬬恋キャベツ酢」が「グッドデザインぐんま」優秀賞を受賞するなど、キャベツの力で村全体のブランド力が上がっている。
先月、私が出演するFM熱海湯河原の番組に黒岩さんがゲスト出演したときには、キャベツの収穫時期はすでに終わっていたが、それに勝るとも劣らない嬬恋村特産のジャガイモ10㌔を持参していただき、リスナープレゼントの商品として提供いただいた。すでにラジオ局には何通もの応募ハガキが「愛してるよ~」のメッセージと共に届いたと聞いている。
その中に「これからも嬬恋でしかできないイベントを楽しみにしています」というものが入っていた。イベントのまとめ役の黒岩さんの本領発揮のときがきた。
コラムニスト紹介
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。