【水上クルーズセミナー】2つの閘門めぐり、水辺の穏やかな空間を実感
2019年12月18日 (水)配信
国際観光施設協会(鈴木裕会長)は11月14日、5回目の水上クルーズセミナーを行った。今回は人工河川「荒川」と都市部をつなげたり、分けたりするシステムを見学し、このシステムに守られた水辺の穏やかな空間を実感することをテーマに据えた。
まちふねみらい塾専務理事の阿部彰氏が案内役を務めた。
コースは「荒川ロックゲート」と「扇橋閘門(おうぎばしこうもん)」を実際に通過し、荒川、旧中川、小名木川を経て日本橋に至るルート。豊洲ぐるり公園船着場を出発した船は途中、オリンピック競技が行われる会場の建設風景や、豊洲市場などを眺めながら、荒川ロックゲートを目指した。
荒川ロックゲートは、水面の高さが違う「荒川」と「旧中川」を船舶が通行できるようにするための施設。これにより、荒川から旧中川、小名木川、隅田川を結ぶことが可能になった。
同ゲートは、地域の防災拠点としても機能する。災害が発生し鉄路や道路が利用できない際は、川を通じて救援物資や復旧資材の運搬、被災者の救出など災害復旧活動の支援に活躍する。
平常時も、プレジャーボートでの水上観光や、カヌーやレガッタなどでの舟遊びなど、川と川を通じた新たな交流が期待されている。
荒川ロックゲートを抜けた先は、穏やかな運河の世界が広がる。「旧中川」では、釣りや川辺の散歩を楽しむ人にも出会った。
その後、船は旧中川から江戸時代初期に建設された約4㌔の直線が続く運河「小名木川」に進路を変えた。運河を切り口に、江戸時代のまちづくりについて理解を深めるとともに、「扇橋閘門」を抜けて日本橋に向かった。
同セミナーを主催する建築部会の﨑山茂部会長は、「閘門を2つくぐることで、高潮や水害から守られていることを実感した。また、閘門に守られた内部河川は、水面ぎりぎりまで下りて釣りや散歩が楽しめる環境にあることも確認できた」と感想を語った。