「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(12月号)」
2019年12月19日(木) 配信
〈巻頭言〉
今年もあっという間の1年でした。本誌の今年最後の号は、昔からクリエイターが多く集まる東京の中央線エリアを特集しました。文化面では、クリスマスプレゼントにオススメの、今シーズンに発売された日本にまつわる書籍や映画DVDをピックアップ、旅ページでは広島の名園を紹介しています。この号は、12月・1月合併号なので、しばらくゆっくり冬休み……だといいのですが、今月は仏・英語版のほかにイタリア語版もあり、年明けにはスペイン語版の発行が控えています。また次号は、1月末に開催されるアングレーム国際漫画祭での配布に合わせ、2月を待たずに発行予定。同時に、来年6月に創刊10周年を迎えるにあたり、特別号(第100号)の企画を進めたり、慌ただしい年末年始となりそうです。皆様、本年中はお世話になりました。良いお年をお迎えください。
(編集長 クロード・ルブラン)
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□特集 「東京・中央線をゆく」
都心から西に向かって延びるJR中央線は、地下鉄も含めた80以上ある首都圏内の路線の中でも圧倒的な存在感を放つ。歴史を遡ると、甲武鉄道が新宿駅と立川駅間に開通したのが1889年、新宿から東京方面の開通はしばらく後の1908年だった。1920年代は関東大震災をきっかけに、都心から西部に移り住む人々が激増し、中央線は東京の都市化とともに発展。その後、中野区、杉並区、そして武蔵野市内の駅周辺には、作家、ミュージシャン、漫画家など多くのクリエイティブな人々が集まるようになった。■大正・昭和の文豪たちが愛した中央線沿線の街。太宰治のゆかりの地、三鷹には今でも多くのファンが足を運ぶ。■新宿の西側は、漫画にも深い関わりがある。かつては、前衛的な漫画雑誌ガロに関わった人々が好んで暮らした街に、現在は約400のアニメーションスタジオが集中。近年漫画関係のショップが増えている高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、そして吉祥寺の個性を探る。■都内有数のオタク文化が花咲く街、中野。サブカルショップ2店で宝探し。■杉並区に暮らしながら、その地区の観光情報をweb上で発信しているアメリカ人、グレッグ・ムダリさんにインタビュー。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉フランス国鉄の徒然
12月に入ったばかりの現在、フランス国内でのもっぱらの話題は、年金制度改革に反対する国鉄(SNCF)を中心に決行中のゼネストです。日本では国鉄が民営化されてから一度も鉄道ストはありませんが、SNCFは全国規模のストライキがあった1947年から毎年その権利を行使。利用者は怒るよりも、ただうんざりです。普段から整備不良や、運転士の遅刻、置き忘れ荷物の処理のために頻繁に電車が遅れるため、TGVが新幹線を抜いて世界一高速の電車であっても、なかなかその価値を実感する機会に恵まれません。そのため、出張で約束に間に合うか、休暇中の旅行が台無しにならないか、いつも気が気ではないのが実情です。そんな鉄道事情に慣れた人々が日本を訪れると、時刻通りに動く電車に感激します。たかが電車、されど電車。旅行者にとって時間の正確さや交通手段の利用のしやすさは、そのままその国の印象に反映します。11月、SNCFは2024年のパリオリンピックに向けて、観光客で溢れかえるであろう駅構内の人の流れをスムーズにすべく、日本の業界のエキスパートを招き、指南を受けました。SNCFが日本並みの鉄道サービスを提供できる日は来るのでしょうか。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉