JTB、人材ビジネスに本格参入 高い接客サービスなど付加価値を付けた人材供給へ
2020年1月31日(金) 配信
JTB(髙橋広行社長)は1月28日(火)、ツーリズム産業の人材不足解消と地域経済の活性化に向け、ワールドホールディングス(ワールドHD、伊井田栄吉社長)とすすめる協業事業について会見を開いた。両社がJWソリューション(JWS、本多信二社長)に出資を行い、人材ビジネスに本格参入する。
東京都内で開いた会見でJTBの髙橋広行社長は、「単なる人材ビジネスではない」と強調。JTBが培ってきた人材育成・定着・着任支援カリキュラムやネットワークをJWSに導入し、「宿泊施設などのニーズにマッチする、ホスピタリティマインドにあふれた人材を供給する」と力を込めた。
そのうえで、「人材不足の解消にとどまらず、施設と地域全体の価値向上に貢献するレベルまでソリューションビジネスを昇華させていきたい」と目標を語った。
参入の背景には、深刻化するツーリズム産業の人材難がある。ツーリズム産業は他産業と比べて離職率が高いといわれ、要因には給与水準の低さや長時間労働があるとされる。
髙橋社長は「採用しても定着しないなど、ツーリズム事業者から人材に関する悩みが多く寄せられている」と現状を説明。これらを踏まえ、“定着”させることを課題とし、配属後もコミュニケーションをとり、フォローしていくなどの対策を講じていく。
「人材に付加価値をつけることで(クライアント側の)単価が上がることは避けられないが、働く側にも還元する」とし、研修や支援を充実させ、給与水準を上げることで高水準な人材確保に定着につなげていく考えを示した。
JWSは主に宿泊事業者を対象とした総合人材サービス会社で、JTBコミュニケーションデザインとワールドHDの子会社であるワールドスタッフィングが昨年4月に共同設立した。
今回の出資により、JWSの資本金はこれまでの5000万円から4億円に大きく増加する。比率はJTB側が40%、ワールドHD側が60%となる。
売上高は、25年までに市場規模の5~7%に当たる100億円を目標に据える。稼働人数は現在の約30人から、派遣・請負を含めて1500人規模を目指す。人材は日本人のほか外国人も対象とし、派遣先は旅館やホテルに加え、テーマパーク、MICE施設などにも拡大していくという。
拠点は東京のほか、今年中に大阪に設ける。21年に沖縄と福岡に、25年までに全国8拠点に展開する予定。