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〈旬刊旅行新聞2月1日号コラム〉新型コロナウイルスによる肺炎 観光業界の不安を取り除く施策も必要

2020年1月31日
編集部:増田 剛

2020年1月31日(金) 配信

拡大を続ける新型コロナウイルスによる肺

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染が世界中に拡大している。中国政府の国家衛生健康委員会によると、1月27日の午前時点で中国本土での死者は80人、感染者は全土で2477人と発表した。

 
 感染者は加速度的に拡大している。おそらく、1月27日に書いているこの記事が紙面になるころには、ケタ違いに感染が広がっている恐れもある。
 
 外務省の海外安全情報では同日現在、多くの感染者を出している武漢市を含む中国・湖北省の全域を、レベル3の「渡航は止めてください」に引き上げ、渡航中止勧告を出している。
 
 
 2020年の中国春節(旧正月)は1月25日で、前後の24―30日の1週間が休暇となる。中国では30億人が移動するとも言われ、感染を最小限に食い止めるには、最悪のタイミングとなった。中国政府は1月24日から中国国内の団体旅行を中止。27日から日本を含む海外旅行も中止する。今や世界中を旅する中国人旅行者による感染拡大を食い止めるには、旅行の制限はやむを得ない。
 
 26日には、厚生労働省が4人目となる国内感染者を確認したと発表したが、当然、日本も水際の対策が必要である。
 
 厚労省のホームページには、「コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルス」とある。さらに、「人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られているが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS―CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)と、MERS―CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、通常の風邪などの重度でない症状にとどまる」と説明している。
 
 対策としては「過剰に心配することなく、季節性インフルエンザと同様に、咳エチケットや手洗いなどの感染症対策に努めてほしい」と注意喚起をしている。まだ国内ではヒトからヒトへの感染が確認されていない。確かに過剰に騒ぎ立てず、冷静に対応することが大事である。
 
 
 観光業界では、19年の出国日本人数が史上初めて2000万人を達成した。今年は訪日外客数4000万人という、とても高い目標に向かって上昇気流に乗りたいところであったが、その矢先に、新年早々から難しい局面を迎えてしまった。自然災害や国際情勢の変化、そして今回の新型肺炎の拡大など、観光産業ではどうにもならない問題が次から次へと現れてくる。旧正月の休暇期間中に予約が埋まっていたのに、突然のキャンセルが相次ぐなどの影響も出ている。国際観光旅客税(出国税)の一部は、苦境時の観光業界に目を向け、不安を取り除き、安定的に育てていく施策を求めたい。
 
 
 近年は、インバウンドの拡大が当然のようになっていた。19年の訪日外客数は同2・2%増の3188万人と7年連続で増加したものの、足元は実に危うい状態にある。日韓関係の悪化によって19年の訪日韓国人は前年比25・9%減の558万人と大幅な減少となった。また、訪日客総数のうち、中国から日本には約3割の959万人が訪れた。1000万人規模の市場が海外団体旅行を中止した状況は、日本の観光業界にも激震となる。
 
 2月、3月は、卒業旅行のシーズンを迎える。国内旅行や、海外旅行を楽しみにしている学生も多いだろう。慎重に感染を食い止め、沈静化を望むばかりだ。
 
                           (編集長・増田 剛)

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