鉄旅オブザイヤー2019 グランプリは深夜のトンネル探検ツアーが受賞 準グランプリに鮮魚列車ツアーも
2020年2月6日(木) 配信
国内の優れた鉄道旅行を表彰する「鉄旅オブザイヤー2019」の授賞式が2月5日(水)、鉄道博物館(埼玉県さいたま市)で行われた。グランプリには、第三セクター鉄道の北越急行(小池裕明社長、新潟県南魚沼市)が企画した、深夜の鉄道トンネルを特製ヘルメットを着用して歩くツアー「超低速スノータートル 『ナイトタートル ~夜のトンネル探検~」が選ばれた。
授賞式で営業企画部の大島一晃営業主任は、深夜の時間帯に行われるツアーについて「営業運転が終了した夜間なら列車ダイヤの制約がなく、行程が自由に組めるのでは」という発想から生まれたと明かした。
ツアーは、最終電車の運行が終了した午後11時40分に出発。帰着は始発電車が動き出す前の午前4時40分と夜通しの行程。午前0時ごろから赤倉トンネル内約2.2㌔を約70分かけて徒歩で移動する。鉄道乗車区間は、車窓から暗闇だけが望める真夜中の「ほくほく線」を5~20㌔の超低速で走行する。
料金は1人9000円で、トンネル探検時に使用する特製ヘルメットのほか、夜食として地元魚沼産コシヒカリの新米を使用したおにぎりとお茶が付く。
募集人員40人に対し約5倍以上の申し込みがあり、抽選での催行となるほど反響が大きかった。県外からの参加者が8割で、遠くは九州や大阪からの参加者も含まれていたという。
桑原信之営業企画課長兼監査室長は、「当社は旅行業を始めて、まだ4年足らず。沿線に観光地が少なくアイデアが限られる。赤字経営で、宣伝費などのお金もかけられない」と苦しい現状を語った。
そのうえで、「今回のツアーに参加することで沿線地域を知ってもらい、次回は新潟の温泉に宿泊するなどのきっかけになれば」と地域活性化に期待を寄せた。
北越急行は、六日町(新潟県南魚沼市)と犀潟駅(新潟県上越市)間の59.5㌔を結ぶ「ほくほく線」を運営している。日本一表定速度が速い(時速88㌔)とされる「超快速スノーラビット」を運行しているほか、19年には台風被災による北陸新幹線の一部不通に伴い、う回ルートとして臨時延長運転を実施した。
準グランプリは、クラブツーリズムの「日本で唯一の行商専用列車 近鉄「鮮魚列車」が受賞。普段、三重県の漁港で水揚げされた鮮魚を大阪に運ぶ行商のための列車を、ツアーで貸切運行した。
企画した第3国内旅行センターの大塚雅士氏は、自身の幼少期に関東でも走っていた行商列車に乗れなかった経験を基に造成したという。
大塚氏は17年度の「鉄旅オブザイヤー」でグランプリを、18年度は審査員特別賞を受賞。ヒット企画を多数生み出している。「今回、どのツアーを応募作品にするかが一番悩んだ」と大塚氏ならではの悩みを明かした。
鉄旅オブザイヤーは、旅のプロが企画する鉄道旅行の素晴らしさと、鉄道の旅を楽しんでもらいたいという願いを込め、2011年度に始まった。9回目を迎えた今年、旅行会社部門の応募総数は85作品、応募社数は16社にのぼった。
受賞作品は次の通り。