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〈旬刊旅行新聞3月1日号コラム〉新型コロナ感染拡大 “リカバリー策”今から考えておこう 

2020年2月28日
編集部:増田 剛

2020年2月28日(金) 配信

新型コロナウイルスの感染拡大を防止しながら、リカバリー策の準備を

 新型コロナウイルスの感染が拡大を続けている。韓国やイタリア、イランでも急激に感染者、死者数が増加し、世界各地に広がりそうな勢いだ。
 
 観光先進国のイタリアでは、ベネチアのカーニバルやミラノ・ファッションショーも開催途中で中止となった。サッカーセリアAの試合も延期されるなど、対応に苦慮している。日本も、大相撲春場所の開催を検討中(2月26日現在)など、大きな影響を受けている。スポーツ大会や、音楽コンサート、劇場公演、映画上映などエンターテインメントイベントが続々と中止や延期になっている。

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 このようななか、政府は2月25日、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を決めた。「患者が増加するスピードを可能な限り抑制する」ことが重要とし、イベントなどの開催については「現時点で全国一律の自粛要請を行わないが、開催の必要性を改めて検討するよう要請する」とのことだ。
 
 翌26日には、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、安倍首相は「多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントは大規模な感染リスクがある」として、「今後2週間、感染リスクの高い大型イベントの中止や延期、規模縮小」を政府として要請する姿勢を表明した。
 
 国や地方自治体、医療関係者、民間事業者、そして国民が一体となって、新型コロナウイルスの感染を最小限に抑え、「早期の終息に集中する時だ」と思考を切り替えるしかない。観光業界にとっては非常に厳しい状況だが、感染が拡大するほど厳しさも増してくる。

 
 日本旅行業協会(JATA)の越智良典理事・事務局長は2月12日に開いた会見で、SARS(重症急性呼吸器症候群)や新型インフルエンザなどによる旅行業界への影響をデータ化し、「アクシデント発生から回復までの期間を半年」と分析。危機感を持ちながらも、「新型コロナ対策室」で、終息後のリカバリー(回復)策を冷静に練っていく考えを示した。とても賢明な対応だと感じる。
 
 観光業界は脆弱な産業のため、自然災害や感染症の拡大、国際情勢の変化、テロなどによって大きな変動が生じる。また、今回のコロナウイルスの感染拡大は日本中、世界中にも影響を与えるので、終息後も「地震や水害の被災地を、ほかの地域が送客支援する」といったカタチにはならない。その意味では、力のある者は生き残り、そうでない者は難しい局面を迎えるかもしれない。
 
 多くの旅行会社や旅館・ホテルにも、キャンセルの動きがあると聞く。そのときに、キャンセルではなく、「延期」にして客をつなぎとめる力量や実力も問われる。

 何事も長くやっていれば、「良い時」も「悪い時」もある。しかし、真価を問われるのは、厳しい環境を迎えた時である。日ごろから客に強く支持されていれば、一時的な苦境も乗り越え、カムバックすることができる。そう考えると、「老舗」と呼ばれる企業や店舗は、長年さまざまな荒波を潜り抜けてきた存在である。慌てず、静かに厳しい時期を耐え、反転攻勢の機を伺う――。そのような姿勢でいたいと思う。
 
 今回の新型コロナウイルスはとても難敵であるが、今から回復策もしっかりと考えておこう。

(編集長・増田 剛)

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