アソビュー、ネット販売拡大はかる レジャー施設向けにカンファレンス開く
2020年3月5日(木) 配信
レジャー施設のチケットをインターネットで販売するアソビュー(山野智久社長、東京都渋谷区)は2月26日(水)、東京都内で「アソビュー レジャー カンファレンス2020」を開き、基調講演や分科会などを行った。AI(人工知能)やIoTの技術が進歩するなか、インターネット販売の利用率が低い娯楽・レジャー施設での活用拡大をはかる狙い。
山野社長は「アトラクション・レジャー施設でのインターネット販売は5%ほど。今回のカンファレンスが、少しでも利用率を上げるきっかけになれば」と意気込みを述べた。
基調講演には観光庁の河田敦弥観光資源課長が登壇した。
河田課長は冒頭で、政府が掲げる2030年までに訪日客数を6000万人に増やし、消費額を15兆円に増額する目標を説明した。
旅ナカ消費については、「訪日客の消費額のうち娯楽・サービス費が占める割合は2・5%に過ぎない」と課題を挙げた。
一方、アメリカを訪れた外国人客が娯楽・サービス費に使う割合は12・2%。フランスは11・1%であることを紹介し、「日本には、まだ伸び代がある」と期待を寄せた。
とくに、ドイツとインド、ロシアでは、1~2週間の自然体験を行う人が多いため、取り込む余地が大きいという。観光庁は今後、出国税の収入を用いて、自然公園の観光資源化を行う。
アソビューは来場者に事前に質問を募集。当日は河野課長に質問を投げ掛けた。
質問事項は「外国人消費を8兆円に増額するために実行していること」や、「東京オリンピック後の観光をどう考えているか」――。
「外国人消費を8兆円に増額するために実行していること」には、「海外旅行に行こうとするアジア人は多い。地方に泊まってもらい滞在時間を増やすようにしたい」(河田課長)と力を込めた。
「東京オリンピック後の観光をどう考えているか」には、文化観光として美術館や博物館、神社仏閣で集客をはかる方針を説明した。
□スマホだけ使用する人は約7割
分科会A―1ではグーグルのチャネルセールス事業部の九条彦傑氏が登壇。
スマートフォンで観光情報を検索する日本人は、7割ほどと説明。インドでは87%が旅マエのリサーチから、宿の予約までを携帯電話で行うという。「スマートフォンだけを使って観光情報を調べる人は東南アジアで増加傾向」と話した。
googleで検索される観光関連の情報は「近くにある飲食店や観光地」で、具体例として「日比谷 ラーメン」や「近くの動物園」などだという。
また、近年の急上昇ワードは施設やイベントなどのコト消費関連と話した。
□イルミで閑散期の集客増
分科会A―2では、森美術館を運営する森ビルのシニアエキスパート・洞田貫晉一郎氏と、京阪レジャーサービスの営業チームマネージャー・馬淵勝久氏、横浜・八景島シーパラダイスを運営する横浜八景島の吉澤右耕氏、神戸みなと温泉 蓮を運営するラスイートのマネージャー・中川大輔氏が、来場者の質問に答えた。モデレーターはアソビューのパートナーソリューション部部長の野々松秀和氏が務めた。
来場者からは「施設全体で上手くいったこと」、「デジタルの広告の利用状況」などを質問した。
「施設全体で上手くいった」ことに対し洞田貫氏は「ターゲットごとにSNS(交流サイト)の使い分けが大事。フェイスブックは訪日客の集客につながる」と回答した。
馬淵氏は閑散期の冬シーズンの集客に悩んでいたとし、「イルミネーションを実施した。18年の冬シーズンには開園以来初となる30万人の集客に成功した」と語った。
吉澤氏は3000円の水族館チケットの前売りをした場合、遊園地を含めた5200円のチケットの販売減を心配したが、アソビューの助言により、チケット全体の売上が増加した事例などを紹介した。
中川氏は、細かい情報でも新聞社やテレビ局に伝えた。「記事などで取り上げてもらうことで、集客につながった」と効果をアピールした。