観光庁、36億円の予備費使用 世界各地に正確な情報発信と、新型コロナ終息後の観光需要回復に向けた基盤整備に
2020年3月11日(水)配信
政府は3月10日(火)、2019年度観光庁関係予備費の使用を閣議決定した。同予備費から合計35億7200万円を充てる。新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな影響を受けての対応。日本政府観光局(JNTO)による新型コロナウイルス対策の正確な情報を世界各地に発信するほか、終息後に訪れる観光需要の回復期に向けた基盤整備などの取り組みを支援する。
使途の柱は3つ。「JNTOによる正確な情報発信」に10億700万円、「観光地の多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」に6億8000万円、「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」に18億8500万円を充てる。
□訪日旅行控えに対策、新型コロナ対応を発信
「JNTOによる正確な情報発信」では、政府が行っている新型コロナウイルス対策の取り組みなどを世界各地で正確に情報発信する。訪日旅行を検討している人が誤った情報で訪日旅行控えが起きないよう、訪日旅行者数が多い重点20市場に、多様な媒体を活用した情報発信を実施する。
重点20市場はアジアや欧州、北米、オセアニアで今後もインバウンド(訪日外国人旅行)の成長が見込まれる市場。JNTOがプロモーションを重点的に行っている。
具体例として、流行地域からの入国規制措置の実施、24時間対応の多言語コールセンターの周知、感染症対策の実施要請などを挙げている。
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残り2つの柱は、新型コロナウイルスの終息
後に訪れる観光需要の回復期に向けた取り組みだ。感染拡大の防止期間を、将来の観光需要回復に向けた積極的な「助走期間」と位置づけ、反転攻勢に転じるための基盤整備をはかる狙い。
□滞在コンテンツの造成、新規市場の開拓を支援
「観光地の多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」では、多様な魅力のある滞在コンテンツを造成。これにより観光地の高付加価値化や、訪客先の多角化を促す取り組みを支援する。
外国人有識者などを実施地域に派遣するマーケティング調査を行い、市場別の旅行者の構成、消費額、観光資源のポテンシャルを精査。これらを踏まえた新規市場の開拓・多角化などに係る戦略を策定する。
調査・戦略の策定後、コンテンツ造成や多言語解説文の作成など、観光資源の創出と磨き上げを行い、滞在型旅行商品の企画などの販路開拓を支援する。
補助率は、調査・戦略策定が定額、滞在コンテンツの造成などが2分の1となる。
□観光地を面的に支援、訪日客の受入環境整備に
「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業」は、経済産業省の「中小企業生産性革命推進事業」に基づく支援との組み合わせ。施設のバリアフリー化などの設備投資や、キャッシュレス化整備などを支援する。
観光地での一体的・面的な訪日外国人旅行者の受入環境整備を支援。観光名所のほか、飲食店や小売店、宿泊施設、公共交通機関、外国人観光案内所などの整備に活用できる。
補助率は3分の1や2分の1などで、事業主体は民間事業者や地方公共団体など。