古民家宿泊施設「ヤマウラステイ」 ちの観光まちづくり推進機構 今年5月オープン
2020年3月23日(月)配信
□アレックス・カー氏 プロデュース
ちの観光まちづくり推進機構は、長野県茅野市内で風土や地域性を反映した個性ある4軒の古民家を、東洋文化研究家のアレックス・カー氏のプロデュースのもと改修している。5月に一棟貸し素泊まりの宿泊施設「ヤマウラステイ」としてオープンする。
3月下旬から、宿泊予約を受け付ける予定という。
4棟の古民家の改修にあたっては、日本文化研究・古民家改修の第一人者として知られるアレックス・カー氏がプロデュースを行う。長い歴史が積み重ねてきた柱や壁、家自体が持つ歴史の風格や美しさを大切にしつつ、機能の面で大規模な改修を施した。
古民家の持つ贅沢な佇まいと、家としての快適さを、カー氏の美意識でつないだ上質な空間を実現した。
機構では、ヤマウラステイを地域への入口と位置づけ、滞在中に地域の生活を垣間見られる「郷土料理体験」や、地元のガイドの案内で町をめぐる「町歩き」などの滞在交流プログラム「ちの旅アクティビティ」への参加を通して、この地で生きる人の知恵や喜びに触れる出会いを創出することも期待している。
ヤマウラステイと「ちの旅」による観光客と住民との交流を通じて、美しい風景、まちなみ、伝統的な暮らしや食文化などの地域の魅力を残しつつ、持続可能な地域をつくることを目指す。
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山浦エリアは隠れ里のような場所。古い家や開発されていない美しい農地が残った山に囲まれた集落。アレックス・カー氏は、「一見何でもない村落ですが、実はそういった景色が残っている場所は日本中探してもほとんどなく、奇跡的に守られてきた隠れ里が、山浦なのです」とコメントしている。
ヤマウラステイで滞在してもらう家は、そんな集落に建つ古い民家。現代人の気忙しい日常を離れるための家。長い歴史が積み重ねてきた柱や壁などは可能な限りそのままに、上質で快適な空間を目指して改修された。ただ古い訳ではなく、本当にリラックスして過ごせる贅沢な家がヤマウラステイとなる。
趣の異なる4つの古民家は、①清水(きよみず)=元々は長野県佐久地方にあった家を150年前に移築する形で現在の場所へ。家の一角にはかつての厩があり、高い天井を生かし、改修では吹き抜けのリビングに生まれ変わる。定員6人。
②花兎(はなと)=母屋に寄り添うように建つ隠居。清水の離れとして作られた古民家から見る景色にアクセントを与えているのが蔵。壁を塗る漆喰を使って鏝(こて)で描いた「鏝絵」も個性を与えている。定員2人。
③金渓(きんけい)=川向こうに建つ山すその家。築110年ほど、明治期に建てられたものと伝わる。目の前に川が流れているのが特徴で、静かな集落に響く川のせせらぎも過ごす時間を彩る要素となる。定員3人。
④渋道(しぶみち)=地域独特の本棟造りによる2階建ての古民家。山奥で温泉旅館を営む一家が建てた別宅。正方形の間取りに加え、傾斜の緩い大きな屋根が特徴で、かつて養蚕が行われていた2階は梁が見える広々としたスペースに。囲炉裏や、土壁が残る庭の蔵、家を囲む用水路など風土と調和しながら生きてきた人々の暮らしを感じることができる。定員6人。
問い合わせ=ちの観光まちづくり推進機構 ☎0266(78)7631。