JNTO、新型コロナ対応について会見開く 終息後の再スタートに「反転攻勢に向けた仕込みを行っている」
2020年3月25日(水) 配信
日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は3月25日(水)、東京都内の本部で新型コロナウイルス感染拡大が訪日客に及ぼす影響について、対応と終息後の取り組みについて会見を開いた。
金子正志理事は終息後の再スタートに備え、「反転攻勢に向けた仕込みを行っている」と明らかにした。具体的な内容として、現在、一時ストップしているプロモーションについて、効果が出やすいものから優先的に行うことと、すぐに再開できる準備を整えていることを挙げた。
2つ目は航空会社や旅行会社などとの連携強化で、「いま観光関係の皆さんは疲弊している。より効果的な連携ができる方法を考えている」と述べた。3つ目は、平常状態に戻った日本を世界にどのように発信するかについて「いかに効果的に情報発信をするかが重要になる」と力を込めた。
終息後は他国・地域も一斉にプロモーションを開始することが予想され、「市場の取り合いが生じるだろう」と予測。そのうえで「終息を見極めるタイミングが重要」と述べた。
JNTOでは「全体が収まらなくても、(プロモーションが)できるところから進めていく」とし、「個別の市場と全体の市場と、両方を攻めていく」との考えを示した。
現段階で新型コロナウイルス感染終息の時期については「日本だけで判断できるレベルでない」(金子氏)とした。パンデミック(世界的大流行)で全世界が一斉に越境移動を制限し、過去の感染症事例が参考にならない可能性があることを示唆した。
2020年2月の訪日外客数は前年同月比58.3%減と、東日本大震災直後に次ぐ過去2番目の大幅な落ち込みとなった。訪日外客数に及ぼす影響については「我われも固唾をのんで見守っている」と述べた。
訪日客の今後の見通しについても言及した。旅行業界専門の調査会社「Forwardkeys」による2020年3~7月までの訪日路線の航空券予約情報(20年3月8日時点)は、東アジア市場はいずれの月も前年を大きく下回っているが、東南アジア市場とインドは5月以降、市場によって前年同月を上回っていると分析。
欧米豪の9市場は、3~6月までロシアを除く8市場が前年実績を下回っているが、7月は6市場で前年を上回っている。「希望を持って旅行したいと思っている人もいる。できるだけ早く終息すれば、その分、市場を取り戻すことができるのではないか。希望が見えるようなデータも分析しながら終息を願い、早く訪日客が戻ってほしい」と述べた。