〈観光最前線〉美術館に学ぶ「伝え方」
2020年4月1日(水)配信

昨夏から札幌、名古屋、大阪の3都市を巡回した「カラヴァッジョ展」。大阪会場を訪れ、展示の工夫に感心した。
イタリア人画家・カラヴァッジョはその作風でしばし、「写実性」という言葉が使われる。これを直観的に伝えようとする試みが「リュート弾き」という絵の前にあった。
採用したのは「音」。ボタンを押すと、作中の譜面を再現したという、リュートの音が流れてきた。絵に描かれた楽譜で演奏してみせる。「写実性とはそういうことか」と実感した。近ごろの美術館や博物館の展示手法は、目を見張るものがある。
開催地を巡り、「東京飛ばし」と揶揄もされた今回の展覧会。今年10月からは東京の国立新美術館で、「カラヴァッジョ《キリストの埋葬》展」が始まる。ご興味あればぜひ。
【鈴木 克範】