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〈旬刊旅行新聞6月1日号コラム〉旅行者の安心へ  「コロナ対策」分かりやすくアピールを 

2020年5月29日
編集部:増田 剛

2020年5月29日(金) 配信

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 政府は5月25日に、東京都や千葉県、埼玉県、神奈川県、北海道の5都道県への緊急事態宣言を解除した。これにより、4月7日の発令以来、ゴールデンウイークを挟み、約7週間ぶりに全面解除となった。

 新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、観光業界にとっては長く、厳しい状況が今も続いているが、終息に向けた第一歩として前進したことは確かである。
 
 
 これからは、感染拡大の予防と、社会経済活動の両立が最大の課題である。
 
 日本旅行業協会(JATA)と、全国旅行業協会(ANTA)は5月14日(5月21日に一部改訂)、「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」をまとめた。
 
 具体的な感染防止対策としては、「対人距離をできるだけ2㍍(最低1㍍)を確保するように努める」をはじめ、店舗などに消毒設備の設置や、マスクの着用などを求めている。
 
 旅行会社の店舗では、消費者と接する機会が多い。「アクリル板や、透明ビニールカーテン、フェイスシールドなどで飛沫接触を防止する」と記載されている。
 
 また、募集型企画旅行については、手配する旅行サービス提供事業者は、原則として「適切な感染防止対策を取っている事業者に限定する」など、自社だけではなく、ツアーに関わるすべての事業者にも目を配らなければならない。宿泊予約サイトとは異なり、対面による旅行相談を特徴とする旅行会社だが、ウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据え、ツアー説明のオンライン化も進みそうだ。
 
 
 宿泊業界では、食事をビュッフェスタイルから、個室での提供や弁当に変える動きが目立つ。また、遠距離からの集客には制限が残るため、近隣エリアや県内客に絞った戦略が求められる。
 
 宿を選ぶ際に、「宿がどのようなコロナ対策をしているか」という部分に高い関心が向かうはずだ。宿のホームページに、スタッフの体調管理や接客スタイル、食事の提供方法、入浴の混雑を避けるルール、共用スペースの過ごし方など、具体的な対策を分かりやすく紹介することが安心につながる。自館のコロナ対策をしっかりと広くアピールしてほしい。
 
 多くの人は、地元の旅館やホテルに宿泊する機会は少ない。大体、出張や日帰り旅行でも、本心は「1泊したい」けど、無理してでも自宅に戻ることが多い。だから地元のことは意外と知らない。私自身も近場の宿に宿泊することで、新しい発見をしてみたいと思う。
 
 
 観光庁の田端浩長官は5月20日に開いた会見で、コロナ終息後に反転攻勢に出るための大規模な観光需要喚起策「Go Toトラベル」のスタートについて、2カ月前後先との見通しを示した。つまり、7月下旬だ。
 
 同事業では、旅行代金の2分の1(1人当たり最大2万円)の割引が適用される。また、地場の土産物店や、飲食店、観光施設など幅広く使用できるクーポンの発行もセットで行う。
 
 「不要不急」と言われ続けている観光施設や飲食店などは、肩身の狭い思いをしてきたと思う。商売もできないし、酷い扱いも受けてきた。しかし、人生の醍醐味は「不要不急」の中にあることを、多くの人たちは長い自粛生活の中で身に染み始めている。
(編集長・増田 剛)
 

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