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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(113)心に留めるリアルの価値 創客のカギは「感じる力」

2020年6月2日
編集部:馬場遥

2020年6月2日(火) 配信 

 

 私たちの生活や観光ビジネスは、今後どのように変化するのでしょうか。新型コロナウイルスの影響を受け、不要不急の外出自粛が続くなかで、ビジネス環境も大変難しいものになりました。

 お客様が動かないことで、誘客の販促活動すら難しい状況です。収束すれば、以前のようにお客様にご利用いただけると願いたいのですが、ひょっとすると以前のようなビジネスに戻ることはないのかもしれません。

 そんな不安を抱えながら、先日大切な用事で上京しました。飛行機が減便していることもあり、逆に機内はそれなりの人が乗っていました。ただ、羽田空港はこれまでに見たこともないがらんとした風景で、大きなショックを受けました。

 東京の街を行き交う人々は少ないですが、そこには確かな日常がありました。しかし、以前と少し違っていたのは私自身でした。交差点で信号待ちをしているとき、近くに人が立つと何となく不安を感じていたのです。思わず一歩距離をとる自分にショックを感じました。

 「今は仕方がないから、人をそういう風に感じながら生活する」。人と話すのが大好きで、笑顔を見ながら、この人のお役に立てることはないか、と思いながら仕事をしてきました。それが、東京でのわずかな滞在時間の中で自分の変化に驚き、戸惑ってしまいました。

 これを、肌で感じられただけでも東京に行った価値はありました。やはり、人は人と接する機会を無くすと、人らしい生活ができなくなる。目の前にいる人の行動や仕草の変化から、何かを感じ取ろうとすることで五感が鍛えられ、人を想う心が育つのです。

 もちろん、それがすべてではないですが、少なくとも私はそのように感じました。ZOOMなどを使った会議やビジネスが新しいスタイルとなるのかもしれません。バーチャル宴会やバーチャル宿泊、バーチャル観光なども増えて来るのでしょう。

 バーチャルがリアルへの伏線となり、実際にそこへ行ってみたいという人を創造する武器になれば、その効果には成果があるかもしれません。しかし、もっと大切なことは、リアルに逢うからこその価値がそこにあるかどうかです。

 便利になり、気軽に旅行気分を味わえるバーチャルに慣れてきたら、それでもう十分となってしまうかもしれないのです。お客様に来てもらえるうれしさを、私たちはこの厳しい環境下で思い知らされました。だからこそ、次にお逢いする人には、その喜びをおもてなしで、これまで以上に伝えなければならない。リアルに逢える価値を観光ビジネス、おもてなしビジネスに関わる私たちがしっかりと心に留めて。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

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