観光立国加速へ首相が指示、「行動計画」の6月改定へ(観光立国推進閣僚会議)
安倍晋三首相が主宰する観光立国推進閣僚会議の第3回が1月17日に開かれ、安倍首相から、各省の大臣・副大臣・政務官へ、「2020年に向けて訪日外国人数2千万人の高みを目指す」ことや、外国人旅行者に不便な規制や障害の洗い出し、施策の速やかな実行、「アクション・プログラム」の改定など、政府一丸となって観光立国を加速するよう指示が出た。
今後は、関係省庁の副大臣や政務官レベルで構成される「観光立国推進ワーキングチーム」での検討を直ちに開始。5月まで有識者の意見も聞きながら検討し、6月の「アクション・プログラム」改定を目指す。太田昭宏国土交通大臣は改定内容について、2020年東京五輪を見据えて(1)ビザ要件のさらなる緩和(2)災害時の外国人旅行者の安全確保(3)多言語表示(4)無料公衆無線LAN環境の整備(5)出入国手続きの迅速化と円滑化――などの施策を挙げ、関係閣僚に協力を呼びかけた。
そのほか、各省庁からも発言があり、谷垣禎一法務大臣はクルーズ船審査の一層の合理化など出入国管理法改正の次期通常国会提出への検討について触れ、岸田文雄外務大臣はさらなるビザの要件緩和や魅力ある日本の発信の重要性を強調した。甘利明内閣府特命担当大臣は1月中にまとめられる成長戦略関連施策の実行計画や今後の検討方針に、観光関連も位置づける意向を語り、稲田朋美内閣府特命担当大臣は京都が皮切りの「地方版クールジャパン推進会議」を開始したことを報告した。江藤拓農林水産副大臣は食文化発信への尽力を語り、上野通子文部科学大臣政務官は東京五輪に向けて全国各地で文化芸術の交流イベントを開き、日本を「文化芸術立国」として発信していくことを紹介した。
その後に開かれた第4回国土交通省観光立国推進本部で太田国交大臣は「東京五輪はインバウンド推進の強力な追い風。この機を逃さずに、今年を2千万人の高みを目指す新たなスタートの年としたい」と力を込め、観光立国が国交省の最重要課題の1つと認識し、施策を速やかに実行するよう指示した。高木毅副大臣は航空環境の充実や入国手続きの円滑化、訪日外国人の延べ滞在日数の長期化などの課題を挙げ、「外国人観光客にたくさん日本でお金を使ってもらい、それを日本の成長につなげなくてはいけない」と語り、「東京だけでなく、全国各地で外国人観光客の恩恵を受けられるような仕掛けが必要」と問題提起した。