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【中国】爆買いの次のブームは「洗肺」 JATAのアウトバウンド促進協議会、「B2Bウェブセミナー」から

2020年6月4日
編集部:入江千恵子

2020年6月4日(木) 配信 

オンラインセミナー「中国」(画面のスクリーンショット)

 日本旅行業協会(JATA)のアウトバウンド促進協議会(JOTC)が6月3日(水)に開催した「B2Bオンラインセミナー」で、中国駐東京観光代表処が各観光地の現状や、今後の観光客受け入れなどについて発表した。※いずれも5月末時点の情報

 中国では5月1日(金)ごろから観光地の70%以上が再開。政府の規定で「定員の3割」に抑える入場制限などの対策をとるとともに、オンラインでの事前入場予約や、検温、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の呼び掛けを行っている。博物館などでは見学通路を一方通行にするほか、見学者の分散、屋内施設でのマスク着用を義務付けている。

 同代表処の山田亜美氏は、海外旅行を含む旅行全体の回復には「2年ほどかかるだろう」との見方を紹介。現在、省をまたいでの団体旅行は中止していることもあり、各省内の旅行を再開後、徐々に範囲を広め、「秋ごろまでに国内旅行が回復するのではと言われている」と述べた。そのあとで、海外旅行へとつなげていく考えだ。

 今後、中国では“爆買い”の次のブームは「洗肺(シーフェイ)」だと言われ、大自然の中できれいな空気を吸いながら行う「アクティビティや体験型観光が流行するのでは」と予測されている。山田氏は「中国人が日本で買うものの人気トップ3の中に空気清浄機が入っている。新型コロナウイルスの影響でさらに洗肺の傾向が高まるのでは。今後のインバウンド商品の参考になれば」と話した。

 現在、中国の一部観光地では国内旅行者に対して、健康状態を証明する「健康QRコード」の提示を求めている。今後、海外からの観光客への導入が検討されていることにも言及した。

各地の状況

 四川省は、世界遺産の名勝「九塞溝」が3月31日(火)から観光客を受け入れている。ホテルは5月1日(金)時点で83%が営業再開。今後は、漢詩の場面で秘境文化を堪能する「唐詩宋詩の旅」がおすすめだという。同代表処主席代表の王偉氏は「中国への旅行再開は、四川省からスタートしたい。すでに(受け入れの)準備も済んでいる」と話し、日本人観光客の再訪を心待ちにした。

 西安ではコロナ禍後の観光に向けて、専用車での移動の推奨や、風通しの良いレストランの厳選、新スポットの提案などの準備を行っている。

 上海ディズニーランドは5月11日(月)の営業再開後、入場を定員の3割に制限しているほか、予約はオンラインのみとし、パレードやショーは中止している。アトラクションは隣の席を1つ開けるなどの対策を取っている。

コロナ禍後の変化

 今年のゴールデンウイークに雲南省を訪れた国内旅行者44.8万人の傾向は、旅行会社の利用率はほぼゼロで、観光消費額は30%以上減少したという。オンライン予約や自家用車の利用が増え、コロナ禍前と比較して買い物や宴会をしない旅行者が多かったという。

 福建省の厦門島では、新型コロナウイルスの影響で、街全体の店舗893軒のうち、43%に当たる381軒が閉店。内訳は、アパレル店が最も多い137軒、次いで158軒、医療店が86軒だった。

好調なOTA

 中国では、中小旅行会社の倒産が相次いでいるほか、4大旅行会社のうちの1社も倒産し、厳しい状況が続いている。一方で、利用者数を伸ばしているのがシートリップや同程芸龍などのOTA(オンライン旅行会社)で、第1四半期の利用者数は1億人を超えた。これらのOTAは、顧客ターゲットを大都市から中小都市にシフトし、オンライン登録者数を44.3%から56.1%に拡大。サービスは日本と同様に、航空便や宿泊施設、フェリーなどの予約のほか、観光スポットの情報提供を行っている。

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