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心遣いの押しつけ

2014年2月11日
編集部

 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。

 昨年、関西圏のあるホテルに泊まった。部屋の戸を開け、靴を脱ごうと下を見るとスリッパの上に、直筆で一筆添えられたウェルカムカードが置いてあった。「このホテルでよかったなぁ」と心がほっこりしたまま、靴を履きかえた。部屋の奥に進みテーブルに荷物を置くと、机上にも同様のカード。さらに奥に進み、窓際の椅子に腰かけると、サイドテーブルの上にもカード。ちょっとびっくりして、部屋を見渡すとベッドの枕元にもあり、トイレに行けば、洗面台の上にもあった。

 消費者心理としては、ステキな心遣いも度がすぎると、優しさの押し売りのようで鬱陶しくなる。理想をいえば、心遣いはさりげなく、じわじわと。中国の思想家、孔子は「論語」のなかで中庸の大切さを説いていた。ステキな心遣いなのに、もったいなさすぎる。

【伊集院 悟】

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