食事提供方法 9割超が変更 大浴場は「混雑状況の表示」など「100選」旅館にアンケート
2020年7月11日(土) 配信
5月25日の全国における緊急事態宣言解除を受け、休業を強いられた旅館・ホテルの大部分が営業を再開している。本紙は6月中―下旬にかけて、プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選入選施設を対象に、宿泊3団体の新型コロナウイルス対応ガイドラインを指針としつつ、具体的な運営方法についてアンケート形式で聞いた。36館から寄せられた声の一部を紹介する。
【営業統括部】
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■夕食は後出し回数減
最も影響を受けた場面の1つが食事。9割以上の施設で提供方法が変わった。夕食では、ガイドラインの一例にある「料理説明を書面で行う」ほか、「部屋食は了解を得たうえで、可能な限りの料理を並べておく」(岐阜県の宿)や「重箱を利用」(山梨県の宿)など、後出し回数を減らす工夫が見られた。
朝食ではバイキングをセットメニューに変更する動きが主流だが、「人数が多くなると個別提供が追いつかない」(岩手県の宿)や「いつバイキングスタイルに戻すか」(長野県の宿)など、今後に課題を残している。
■大浴場制限に戸惑い
大浴場の入場制限については模索段階だ。そもそも再開したばかりで、制限の必要がないという声も多い。そんななか「入口やフロントで混雑状況を表示」(長野・群馬県の宿)、「できる限り入浴時間を指定」(岩手県の宿)など、案内面での苦心が伺える。脱衣かごを減らすといった物理的制限だけでなく、「利用状況を見える化できるシステムの導入を検討」(石川県の宿)という、1歩踏み込んだ動きも出てきた。
■独自マニュアルも
独自の感染症対策ガイドラインを策定・公開している宿は9軒。そのうえで、宿泊客の「検温」を実施している施設もある。
「宿泊客にもアルコール消毒液の小型ポットをお持ちいただく」や「コンパニオンマニュアルの作成」(いずれも群馬県の宿)、「清掃後の客室に消毒済の案内を設置」(長野県の宿)などにも取り組んでいる。
■宴会場を遊び場に
既存施設を有効活用した、ウィズコロナ時代ならではのもてなしも生まれている。「大宴会場を子供が自由に走り回れるように開放」(宮城県の宿)や「休止中のカラオケルームを、リピーター特典として無料ドリンクラウンジに」(石川県の宿)といった工夫も。
併せて「温泉の素をプレゼントし、部屋のお風呂を楽しんでもらう」や、「室内ゲームを充実させた」(いずれも群馬県の宿)など、モノの活用でおこもり需要に応えようとする動きも見られる。