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跡見学園女子大学とジャルパック、江利川社長や現地駐在員と中継 “生の声”で学生の理解深める

2020年7月15日
編集部:木下 裕斗

2020年7月15日(水) 配信

篠原靖准教授

 跡見学園女子大学(笠原清志学長、東京都文京区)観光コミュニティ学部の篠原靖准教授は7月9日(木)、旅行産業論の特別授業拡大篇のオンライン講義を行った。講師にはジャルッパックの江利川宗光社長をはじめ、海外法人の駐在員が参加した。同授業は2月に両者が締結した「包括連携協定」の一環。現場の社員の生の声を直接伝えることで、これまで学生に教えてきた理論をより理解させ、実践の場で活用してもらう狙い。

 講義には学生約140人のほか、ジャルパックや日本航空(JAL)、国土交通省関東運輸局などの職員約100人が聴講した。

 冒頭、笠原学長があいさつで「コロナ禍で観光業のビジネスモデルが崩壊している。産官学で新しい観光の在り方を出せれば」と期待を込めた。

 最初に同大学の外部講師として観光庁の小熊参事官が登壇。新型コロナウイルスの感染拡大による観光業界への影響を開設しながら、政府が行う支援策としてGo Toキャンペーンや持続化給付金、雇用調整助成金などの概要を説明した。

 さらに、今年は学校の夏休みが短くなり旅行需要が短い期間に集中するため、「各交通機関や受入施設などが密集状態になる。(観光庁としては)新しい旅のスタイルを検討したい」と力を入れた。

 その後、現地法人の駐在員が生中継で講義を実施した。

 初めに、ホノルル本社の江越大樹ディレクターがハワイのワイキキビーチで、マスク着用の義務化などの法律や入国制限、受入施設の休業状況を説明した。

 ハワイ州が州外からの入域を制限しており、「受入側の事業者は、施設の整備をして観光客を迎える準備をしている」と伝えた。

生中継でワイキキビーチのようすを伝えた

 続いて、香港にある同グループのジャルサテライトトラベルの藤田亘宏社長が観光地「男人街」のようすなどをリポートした。昨年から続く中国政府に対するデモの影響で香港の観光客数は、ほぼいなくなった。「コロナ禍で飲食店が閉店している」と状況を説明し、危機感を示した。

 最後にドイツのフランクフルト支店から長嶋剛史ゼネラルマネージャーが「ドイツでは観光が衣食住の次に必要とされている」と強調。フランスへの渡航が解禁されたことにも触れ、「両国間における人の行き来はコロナ前に戻りつつある」と報告した。

 講義の最後には江利川社長が登壇。現在のコロナ禍で海外旅行が制限されている状況について、「世界中で鎖国が実施されている。鎖国を解く際には日本が主導的な役割を果たし、意見を述べるべきだ」と力を込めた。

 今後の需要回復については、「デジタルの世界だけでは人間らしく生きられない。リアルでの対面が必ず求められる。その時、我われ旅行業界が重要な役割を果たす」と意気込みを語った。

 社会人としての経験談では、JALに入社した直後の1985年、出身地の群馬県で発生した御巣鷹山の事故の際に遺族への対応を行ったことに触れた。このほか、中国で反日デモが活発化したなか、同社の中国地区総代表として北京支店に赴任したことや、会社更生法が適用された2010年に、多くの社員を解雇したことなどを語った。

 「困難から逃げずに正面から向き合ったから、今のJALグループがある」とし、学生には「難局から逃げると結果は悲惨。小さなことから難しいことに挑んでほしい」とアドバイスした。

江利川宗光社長

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