test

「津田令子のにっぽん風土記(64)」近江八幡のおいしいものを取り寄せる~ 滋賀県近江八幡編~

2020年8月30日(日) 配信 

乃利松の「味付赤こんにゃく」
近江八幡観光物産協会事務局長 田中 宏樹さん

 滋賀県近江八幡市もまた、NHKのテレビやラジオの取材をきっかけにたびたび訪れている場所の1つだ。八幡堀周辺の古い商家とヴォーリズ建築がとくに気に入っている。

 
 戦国時代に豊臣秀吉の甥、秀次が八幡山城を開城した際、琵琶湖と城下町をつなぐ「八幡堀」をつくって以来、「この水運を利用して商業が発展し、全国をまわる『近江商人』が誕生した」と、近江八幡観光物産協会の田中宏樹事務局長は話す。今も新町通りや、八幡堀周辺には商家の建物や土蔵などが残り、旧西川家住宅、旧伴家住宅は郷土博物館として見学できるのだ。

 
 「それらと並ぶのがヴォーリズによる建築です」と田中さん。米国人のウィリアム・メレル・ヴォーリズは1905(明治38)年に来日し、近江八幡市を拠点に建築設計のほか、医療、製薬、教育などさまざまな事業を行った。「旧八幡郵便局」は、ヴォーリズ建築の保存再生運動を行うNPOの整備によって一般公開されていて見学することができる。

 
 近江商人の歴史を感じる重厚な雰囲気の建物と、ヴォーリズのどこか温かみのある洋風建築は、不思議なほど調和がとれていて近江八幡でしか見られない風景と人気を集めている。「コロナ禍の今でも、個人や小グループで、まち歩きを楽しんでおられます。まちの雰囲気や風情を、ゆったり楽しむのであれば、今がよいのかもしれませんね」と語る。

 
 一方で、最近問い合わせが急増しているのが、近江八幡の味を楽しめる「お取り寄せグルメ」という。気持ちはあっても、なかなか旅に出られない方が多いなか、「ぜひ、近江八幡のおいしいものを味わいたい」との声が全国から上がっているという。明治時代の文明開化以来、自営牧場で育ててきた近江牛の老舗・毛利志満の「近江牛」や、丁字麩を使った吉井の「ちょうじ最中」、口の中でほろっと溶ける和た与のでっち羊羹、派手好きだった織田信長ゆかりの1品で、還暦のお祝いにもぴったりの真っ赤な鉄色が特徴の乃利松の「味付赤こんにゃく」など、ならではのおいしいものが目白押しなのだ。

 
 「近江八幡は、昔も今も(良くも悪くも)そんなに変わらないところなので、ゆっくりのんびりと訪ねてきてくださればと思います」と笑顔で語る。

 
 日本全国さまざまなイベントが延期や中止になっているなかで「BIWAKOビエンナーレ」が10月10日~11月23日まで開催されると聞いたので、ぜひ出掛けてみようっと。

 

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。