「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(9月号)」
2020年9月20日(日)配信
〈巻頭言〉
新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言が5月から段階的に解除され、7月にはある程度の収束の兆しが見えたのも束の間、新たに第2波への懸念が現実味を帯び始めました。フランス文化を支える美術館や映画館は夏前に再開するも、予約制で入場者数を制限、館内ではマスク着用が義務づけられています。5000人以上を収容するコンサートや舞台は10月末まで禁止。各界のアーティストたちには厳しい状況が続いています。一方、日本ではコロナ禍で小規模映画館が再注目されているそうです。平時から日本各地のさまざまな映画館を訪れていた本誌記者は、この機会にミニシアターを取材しました。文化面にはフランスがロックダウンした時期にパリに滞在していた小説家・原田マハさんのコロナ日誌を掲載、旅ページでは西表島の奥深い自然をレポートしています。
(編集長 クロード・ルブラン)
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□特集 脅かされるミニシアター
昨今、日本で再注目されているミニシアターとは、収容人数200人以下、1970年代から長年アート系や海外の実験的な作品、そしてインディペンデント映画の上映に力を注いできた小規模映画館だ。当時圧倒的に支持されたその映画上映の形態は、その後も数十年間台頭し続け、商業映画を扱う大型映画館と一線を画す存在であった。その後、海外の作品などは下火になりつつも、独立系の邦画は需要が伸びた。にもかかわらず、2000年代に入り一つの施設に複数のスクリーンを有するシネマコンプレックスが主流となって以来、ミニシアターの運営は圧迫。地方ばかりでなく、大都市でもその多くが閉館を余儀なくされ、現在、国内の全スクリーンのうち、独立系のものは12%にしか及ばない。そのような状況に追い討ちをかけたのがコロナ禍だ。集客もままならない存在危機に、多くの映画人が動いた。■Save The Cinemaを呼び掛けたコミュニティシネマセンター。■挑戦し続ける独立系映画配給会社セテラ・インターナショナル。■70年の歴史を守る別府ブルーバード劇場、89歳の支配人。■渋谷で革命を起こすUPLINK。■「人」とのつながりに賭けた京都の出町座。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉2020年後半期の日本キャンペーン
例年、8月は多くのパリ市民がバカンス旅行に出掛け、市内は閑散として地下鉄でも観光客を見る程度です。ところが今年はコロナの影響で旅に出る人が少なかったのでしょう、パリ市内の人口密度が高いように感じました。国全体でも今夏は国内旅行が中心ですが、旅好きのフランス人たちはやはりチャンスがあれば国外旅行に出掛けたいと望んでいます。旅先として日本は相変わらず高い人気を博しており、ヨーロッパの中でもフランスはイギリスに次いで2番目に訪日外客数が多いそうです。
日本のインバウンドを画策する日本政府観光局(JNTO)は、こちらでも常日頃から現地の人々向けにさまざまな日本旅行プランを紹介しています。この夏新たに「日本の食を切り口とした旅のヒント」を公式サイト(仏語)にリリースしました。日本の豊かな水や四季など固有の風土を皮切りに、おせち料理に代表されるような伝統的行事食や発酵食品、そしてお好み焼きやラーメンなどストリートフードなど、全国をまたぐ多彩な食文化を紹介することで、新しい旅の楽しみ方を提案しています。
今後また国内外を自由に行き来ができるようになれば、多くのフランス人が日本を訪れることになるでしょう。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉