菅首相「回復に向けた政策プランの策定を年末までに」 宿泊施設などからヒアリング
2020年9月29日(火) 配信
政府は9月29日(火)、首相官邸で観光戦略実行推進会議(第39回)を開き、日本の観光の現状と回復に向けた取り組みについて議論を行った。宿泊施設の代表者など有識者を招き、Go Toトラベルキャンペーンの効果や提言など、現場の声をヒアリングした。
菅義偉首相は、提言を受け、「支援していくことが必要」と述べ、当面の観光需要回復に向けた政策プランを年末までに策定するよう観光庁などに指示した。そのうえで、「観光は文化施設、国立公園を含め多くの役所に関係する政策であり、復活のためには、それぞれの省庁が知恵を絞る必要がある。縦割りを打破し、前例に捉われず、政府一体となって取り組んでいきたい」と力を込めた。
宿泊施設からは、池の平ホテル&リゾーツ社長・矢島義拡氏や、宝川温泉汪泉閣社長・小野与志雄氏、温故知新社長・松山知樹氏らが出席した。
矢島氏は、Go ToトラベルCP効果について報告。開始前(4~6月)の稼働率が前年比12%だったのに対し、開始後(7~9月)は同52%まで回復したことを説明した。また、宿泊にアクティビティなどの付加価値を高めた商品販売の契機となり、宿泊単価は、昨年9月の平均1万1200円から32%増の1万4800円に上昇させることができたという。
政府には、長期型滞在観光を増やすための施設改修費補助、規制緩和を含めた自然公園法の再整備、休日の地域分散など、コロナ後を見据えた支援を要請した。
小野氏は、インバウンド効果について説明を行った。2019年の宿泊客のうち44%をインバウンドが占め、冬のインバウンド比率は11年間で10倍以上となったという。
新型コロナウイルス感染拡大後は、インバウンドだけでなく日本人の宿泊客も減少し、4~6月の約2カ月間休業した。再開後の6月も前年比60%減と大幅な減少となった。
CP後は、旬の地元食材を使った宿泊プランの販売により、平均単価を3000円上げることに成功し、一部客室を減らしたものの前年並みの売上を確保した。CPに東京都の追加が発表されて以降は、既に10・11月の週末は予約で満室の状態となっているという。
今後の要望は、CP終了後も継続的な支援を求めた。また、インバウンドに対応するためスタッフの英語力向上などのサポート、インバウンド再開時の地域住民の不安払拭をお願いした。
菅首相は官房長官時代から同会議の議長を務め、観光分野に取り組む優先順位は高い。今回は首相就任後初の会議でもあり、多くの大臣も出席し、各省庁に指示を出す狙いがあったとみられる。