10月1日、「近代化遺産 全国一斉公開」スタート 普段非公開の施設や、保存修理工事中の施設171カ所で
2020年9月30日(水) 配信
全国近代化遺産活用連絡協議会(会長=多々見良三舞鶴市長)は10月1日(木)から11月30日(月)まで、「近代化遺産 全国一斉公開」を行う。
今年度は、普段非公開の施設や、保存修理工事中の施設171カ所で実施。併せて、38会場でライトアップやトレッキングツアーなどのイベントも企画されている。
「近代化遺産」とは、幕末から第2次世界大戦期までの間に建設され,日本の近代化に貢献した駅舎や橋梁、公共施設など産業・交通・土木に係る建造物。今年度は、保存整備工事が完了した富岡製糸場西置繭所(群馬県富岡市)や、針尾送信所(長崎県佐世保市)の電信室などが初めて公開される。
今年度は初の試みとして、東京シティアイ パフォーマンスゾーン(東京都千代田区)とJR国立駅南口「旧国立駅舎」(東京都国立市)で近代化遺産を紹介する展示イベントも企画した。
9 月18 日(金)~20 日(日)に行われた東京シティアイ パフォーマンスゾーンでのイベントでは、会場には明治期に灯台で使用されていたレンズやなどを展示。「灯台」や「鉄道」などをテーマに専門家らのトークイベントも行われた。
18日のオープニングセレモニーセレモニー終了後には、多々見会長が登壇し、丁野朗氏(東洋大学大学院国際観光学部客員教授)、青柳正規氏(東京大学名誉教授)とトークセッションを行った。
多々見会長は、「街の歴史を見つめなおすと、先人の知恵などが浮かんでくる。歴史を知ることが、地域資源の発見につながるので、市民全員で現状を把握し、未来像を考えるきっかけにしたい」と地域の歴史の活用に関する持論を展開した。
青柳氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大によりさまざまな新ルールが必要とされるなかで、日本の強靭な部分、欠点、見落としている部分が明らかになったと思う。こうした状況のなかで新しい日本を作り上げるうえで、近代化遺産から知恵の使い方を学ばなければならないのではないか」と意見をまとめた。
また丁野氏は、「近代化遺産の活用には、ストーリーと制度が必要。近代化遺産を核に、どう地域全体を活性化させるかをしっかり考えていきたい」と語った。
なお、JR国立駅南口「旧国立駅舎」でのイベントは、10 月31 日(土)~11 月8 日(日)に行われる。