コロナ禍で会社の業績悪化5割 大震災後よりモチベーション低下も「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」JTBコミュ
2020年10月16日(金) 配信
JTBコミュニケーションデザインは10月15日(木)、「ウィズコロナ時代のモチベーション調査」の報告書を発表した。コロナ禍で働く人の仕事や会社に対するモチベーションを調べたところ、約半数の人が勤務先の業績が悪化し、給与面が悪化した人も全体の3割にのぼった。仕事に対するモチベーションは、東日本大震災後の調査結果より低い結果となった。
調査は、全国の18~65歳の男女620人を対象に、2020年8月14~15日にインターネットで実施した。比較対象の「東日本大震災後のモチベーションに関する調査」は2011年5月13~16日に同じくインターネットで行い、全国の18~65歳の男女1034人が答えた。
所属会社の業績をコロナ禍以前と比較し、「大変悪い(17.1%)」「悪い(30.2%)」と回答した人は、全体の47.3%を占めた。自身の給与についても、コロナ禍前より「大変悪い(8.9%)」「悪い(20.5%)」が約3割にのぼり、3人に1人の給与が下がっていることが分かった。
仕事に対するモチベーションは、コロナ禍以降と東日本大震災後を比較したところ、前者のほうがマイナスの影響が大きいことも明らかになった。仕事を「がんばろうと思う」気持ちは、コロナ禍以降が68.1%なのに対し、東日本大震災後は75.0%と高く、6.9%の開きがあった。また、「やる気」については「コロナ禍以前より上がった」が21.9%、「大震災前より上がった」が38.5%と、コロナ禍以降の数値が16.6%低かった。
また、「がんばろうと思う」と回答した人は「現在の会社で働ていることを誇りに思う」「自ら会社のビジョンや理念を実現したいと思う」と回答する傾向にある。会社への誇りや、ビジョン実現への気持ちが「がんばろう」と思う気持ちと相関関係にあることがみてとれる。
仕事に対する意識については「仕事が出来ることの大切さに気づいた」が最も高く、仕事の意味を感じていることがうかがえる。しかし、2番目に多かった「コロナ禍の仕事への影響は、自分の力ではどうすることもできないと感じる」ことから、新型コロナウイルスに対しての無力感や絶望感が表れる結果となった。
コロナ禍に対する会社の対応の総合的評価は、両極端に分かれた。5人に2人は良い評価をしたが、5人に1人は否定的な評価で、東日本大震災後の調査と比較すると、全体的に悪化した。自由記述回答には「会社の冷たさが身に染みた。自己を犠牲にして会社に報いるのはやめる事にした」「絶対感染するなと脅しのような通知があった」などがあり、従業員が不安を抱えるなかで会社から発信される情報に敏感に反応しているようすがうかがえる。
会社の対応への総合評価との関係が大きかった項目は「会社としての、コロナ禍への対応がすばやく、一貫していた」「経営トップや管理職が、リーダーシップを持って行動していた」など。会社のスピード感を持った一貫した対応、上層部のリーダーシップ、従業員にメッセージを発信することが高い評価につながることが明らかになった。
これらの調査結果から、東日本大震災後より低下しているモチベーションに対し、対策を講じることが急務であることがみえてきた。震災後は「復興」という目標があったのに対し、コロナ禍では目標がはっきりしないことから、さらなるモチベーション低下も懸念される。会社の組織全体でサポートし合い、目指すべき目標に向かうことが意識向上につながる可能性があるとしている。