「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(10月号)」
2020年10月24日(土)配信
〈巻頭言〉
フランスの酒といえばワインというイメージが強いかもしれませんが、軽く飲むならビールという人も大勢いるのは日本と同じです。クラフトビールが成長している点でも日本の市場と共通性が見られますが、値段に関しては世界一高い税率が課された日本のビールに比べると、フランスのものは格安と言えるでしょう。日本には、舶来品として課された税金、その後の国産ビールの発展から、値段を抑えた発泡酒の開発、そして誕生した「第三のビール」まで、実は知られざる独自のビール文化が存在します。本誌10月号は、専門家へのインタビューや大小のビール醸造業者への取材を行い、「ビールから学ぶ日本」を、全ページを通して特集しました。ビールの歴史が長いヨーロッパから見ても、地ビール開発などによる日本の地方活性化事業などは、とくに興味深い話題です。
(編集長 クロード・ルブラン)
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□特集 ビール特集
日本産ビールの歴史は、鎖国時代の出島でのオランダ人商人による醸造、400年前に遡る。日本人としては幕末期の蘭学者がその先駆者だが、その後国内に出回ったのは、開国後に参入した「舶来品」である。明治期になると横浜、大阪、北海道など国内にビール醸造場ができ、国産ビールの販売が定着。それがのちのキリン、サッポロ、アサヒなどの大手メーカーに発展し、サントリーも加わり「4社体制」で市場が激化、ヒット商品の開発や価格競争が盛んになった。1990年代になると「舶来の嗜好品」として税率が高いままのビールに代わり、麦芽の使用が少ない発泡酒や、麦以外を原料としたり、発泡酒を別なスピリッツなどで割った第三のビールが誕生。また、醸造量を制限する法律の成立は少量生産の地ビールにとって追い風となり、ビールの多様性が生まれた。■ビアジャーナリスト野田幾子さんに聞くビールの魅力と移り変わり■老舗キリンビール工場を取材■頑張る小規模ビール醸造所ベアードビール■南の星、オリオンビール■漫画で知るビール■東京おすすめビールスポット■シェフが手掛けるパンから作るビール■ビールを使った料理レシピ■ホップの産地、遠野を訪ねる。
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□〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉根強い日本食レストランの人気
パリには多種多様な国籍のレストランがあふれ、日本食レストランもたくさんあります。日本人がシェフをつとめる店も多く、日本とほぼ同じレベルの日本食を楽しむことができます。パリの日本食レストラン街と言われるオペラ地区では、あちこちに見られる日本語の看板を掲げた店の前でパリジャンたちが長い行列を作っています。とくに人気なのはラーメンやうどんなどの麺類を扱う店で、開店前から待っている人もいるほど。手ごろな料金と、フレンチレストランと違って気軽に1人でも食べに行ける雰囲気も魅力の1つなのでしょう。
ロックダウンが段階的に解除され始めた5月以降、新型コロナウイルス感染予防策により座席数や営業時間など、飲食店にはさまざまな制限が課せられるなかで、日本のお弁当文化が新しい営業ツールとして役立っています。さまざまな店がテイクアウトサービスを開始、Uberなどのデリバリーサービスの利用にも積極的です。また現在、コロナ第2波到来でさらに営業制限が厳しくなるなかでも、新規の日本食レストランが続々とオープンしています。
フランスも日本食ブームといわれて久しくなりましたが、これからもまだまだその人気は続きそうです。
フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉