那須塩原でON・ガスウォーキング 夜は特別な場所で交流会 1日を通し那須塩原の歴史と食、自然、文化など提供
2020年11月9日(月) 配信
栃木県那須塩原市で11月7日(土)、「ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 那須塩原2020・板室」が行われた。
乙女の滝をスタートし、板室温泉街を抜け、木の俣園地に至る8㌔のコース。夜は、これまで各地で行われてきたウォーキングイベントとは違う新しいガストロノミー体験として、特別な会場でシンポジウムと交流会を実施。1日を通し那須塩原の歴史と食、自然、文化に触れられる、同市の魅力を存分に詰め込んだイベントで参加者をもてなした。
出発してしばらく、史跡「板室本村の湯本道標」まで進んだところで、一度足を止める。ここでは、道標やお堂に安置されている仏像についてガイドの説明を聞く。今回のイベントでは、ポイントごとに地元の人がガイド役となり、街の歴史やビューポイントなどを解説してくれる。
その後、山道を抜けた先にある葡萄畑が、最初のガストロノミーポイント。チーズ工房那須の森とSo―boku2店舗の3種類のチーズ、那須塩原の秋の味覚を代表する「塩原高原大根」を使ったふろふき大根などが並ぶ。なかでも参加者を喜ばせたのは、目の前に広がる葡萄畑で育った葡萄を使用したワイン。このシチュエーションに魅了され、多くの参加者が長時間滞在していた。
再び山道を進み続け、4㌔地点を少し過ぎると、板室温泉街に出る。ここには2つ目のガストロノミーポイントがあり、そば処やしおの鶏ごぼうそばやいわなの炭火焼きなどが出迎えてくれた。
温泉街に建つ加登屋本館の外観を見学、板室温泉神社を参拝し、川沿いを進み続けること約2㌔。3つ目のガストロノミーポイントでは巻狩鍋や塩原の温泉水を使用して造った温泉梅酒などを用意。巻狩鍋とは、1193年源頼朝が那須野ヶ原で行った那須野巻狩から着想を得た地元の名物料理。獣の肉を使用することが条件で、この日は鴨と鹿、豚、猪の肉を使用した。
3つ目のガストロノミーポイントを出て約30分、ゴールの木の俣園地にたどり着く。最後のガストロノミーポイントでは、道の駅「明治の森・青木」で収穫したさつまいもを使用した焼き菓子や、板室の山奥で焙煎するコーヒーなどで参加者が疲れを癒した。
□開拓の歴史意識 旧青木亭前で交流会
夜は特別にライトアップされた「旧青木家那須別邸」前の広場でシンポジウムと交流会が開かれた。
旧青木家別邸は、明治時代に外務大臣などを務めた青木周蔵が建てた別邸で、那須野が原の開拓の歴史を意識してもらいたいと、同地が会場に選ばれた。市役所の職員が執事、メイドの格好で参加者をもてなし、特別なひとときを演出した。
晩餐のメニューは、那須の野菜や肉などをふんだんに使用したコース料理。なかでも、チーズ工房那須の森のチーズを使用したチーズフォンデュは、多くの参加者が歓声を上げた。
シンポジウムは、生産者と宿の代表者によるパネルディスカッションと、渡辺美知太郎那須塩原市長らによるトークショーを通じ、市の魅力と未来について語り合った。
渡辺市長は、「那須地域は豊かな自然と温泉のイメージは定着しているが、食の面ではPRがまだ十分ではないと感じている。温泉と食の両方を兼ね備えている観光地は貴重なので、3つをうまく組み合わせた発信を強化したい」と語った。